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”発達障害児・者の声”について思うこと

こんにちは!

沖縄県で言語聴覚士をしているAsianSTと申します!
言語聴覚士になって21年目です。
私の思いですが…
『多くの発達障害児や吃音者が、言語聴覚士と出会えないがために
言語リハビリを受けられないという現状を変えることに微力ながら
貢献したい!😊』

です。
どうぞ宜しくお願い致します🙇🏻

note第1回目の最初のテーマは
「発達障害児・者の声について思うこと」
についてお届けします!

発達障害児・者の言語、コミュニケーション面を心配される方はとても多いと思いますが、"声"について関心を向けられる方はかなり少ないのではないかと経験上感じています。

声が全く出せなかったり、声が極端に小さいなどの状態であれば
皆が心配して気にかけてくれると思いますが
ある程度声が出せている子についてはどうでしょうか?

発達障害をもつ人の中には、”声の問題をもっている人が多い”
と私自身は感じています🙂
どういうことか例をあげてお話します❕

現在、私が訓練を行っている発達障害の子
がいます。彼は楽しい時や興奮している時には

『行ってみよう!』
『何~~?』

などと結構大きい声で言うことができます。

普段は簡単なコミュニケーションは取れますし、もちろんその時には
ある程度大きい声も出せています。
ただ、非常に小さい声になったりするなど一定していません。

大きい声を出している時の様子をみれば、発声器官の生理学的問題はないので声については一見何も問題は無いようにみえるかもしれません…

周囲の職員さんも彼自身の行動や体調などについては気にかけていても
『彼の声』について気にかけている人はいません。
声自体は出せているし、簡単な会話は基本できているので
何が問題なのか分からないためと思われます🤔

私はこういった子を見る時に重要視している
視点が
この子が自分の声を自分自身で
どのように感じて出しているのか?
ということです。

安定した声で話し続けることがほとんどない
様子をみると、
自分本来の声が分かっていない
つまり、地声が出せていない
と思われました。

実際、彼が声を出す場面の多くは、
周囲からの呼びかけがあったり、遊びの声に反応する時など、
自発的、あるいは自分が声を出すことを意識してではなく
他の刺激への反応であったり、反射的に声を出す
ような状況
にほぼ限られていました。

では評価の場面ではどうだったのでしょうか?

彼は短い単語を復唱することはある程度できました。
しかし、逆に母音「あー」のような
一つの音を見本(2秒程度)通りに真似する
ことを促すとすぐに声を出そうとしない、と
いうより
『どうやってやるの?』
といったようなとまどった様子がみられていました。

何度か促し、ようやくか細い声で『あー』と
言ったのですが、反射的に出す大きな声には
ほど遠い小ささでした。

これはなぜでしょうか?

繰り返しになりますが
やはり自分で自分本来の声が分かっ
ていない(感じとることができていない)
ためと思いました。

さらにその理由を推測していくと
自分で自分の声を意識して出した経験がなく、
自分本来の声が自分の身体でどのように響くのか
さえも分かっていなかった

からと考えられました。

母音はすべての言葉の土台となるものであ
り、意識して声を出すと言うことは、同時に
自分の声を聴くということでもあり、自分の
声帯振動を感じている(声帯だけが振動するだけではなく
声帯とつながりのある身体が振動する)

とも言えると考えられます。

見逃しがちな声の問題ですが、
自分の声を意識的に感じられるようになることが
(本来の声が出せるようになることが)
情動をのせて声を出せること、
相手がどんな感情で声を出しているのか、
などが分かるようになることに繋がり、
言葉、コミュニケーションを獲得していく土台になります

訓練では様々なやり方で身体を使いながら声を出していくことで
目的とする声の響きであったり、声の長短、高低などを
知覚していくことを行っていきます。

彼は、まだすべての母音で響く声が出せているとは言えません。
しかし一部の母音では良い声
が出せるようになりつつあります。

そして、意識的にはっきりとした声が出せるようになり、
自分で自分の声を聴くことができるようになっていくことが
目標です!

第1回は 『意識して声が出せていない』発達障害をもつ子に
ついてのお話をさせてもらいました😊

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最後までお読みいただきありがとうございましたm( _ _ )m
それではまた次回お会いしましょう (*^▽^*)!

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