幹線設備計画(基本設計)
掲題について記載致します。
幹線計画は以下手順にて行います。
1.盤配置の決定
2.キュービクルより各盤への配線ルート検討
3.配線ルート(ケーブルラックスペース)、EPSスペースの確保。他セクションとの取合い調整
4.配線のルーティング
5.配線のルーティング軌跡から幹線長さを計測して幹線計算
6.幹線計算結果からケーブルラック幅計算
1~3の作業は基本設計初期~中期及び後期~纏めの段階で2回行うことになると思います。
①初期~中期の負荷内容が纏まっていない段階では、概略検討でスペース取りを行い、
②後期~纏めの段階では負荷内容をある程度纏めて、①で要望したスペースに不足ないか検証し、不足していれば追加要望を行うという流れになります。
1.盤配置の決定
①の段階ではこちらの記事の考え方をベースに計画します。
②の段階で、電灯盤はこちらの記事、動力盤はこちらの記事内容を完了させて配置確認及び修正追加を行います。
2.キュービクルより各盤への配線ルート検討
①の段階ではキュービクルからEPS(EPSが無ければバックヤード等)を通過して、各階の盤へ幹線配線ルートを検討します。
EPSが意匠図にない場合は電灯盤設置スペースと合わせて要望します。
②の段階では①で取合いを行った内容を基に修正を行うイメージになります。
3.配線ルート(ケーブルラックスペース)、EPSスペースの確保。他セクションとの取合い調整
①の段階では暫定で要望スペースを算定して意匠、構造、機械設備との取合いを行います。
取合いが完了したら、1、2にフィードバックして4の作業に移ります。
4.配線のルーティング
検討したルートにて配線を作図します。
一般的にメインのルートから各盤へ分岐するような作図を行います。
ELVの電源は制御盤の設置階を確認し、ELV内は基本的に露出配管にて作図します。
その他、負荷容量の大きいものは電灯盤や動力盤を介さずに幹線を直接配線します。例えば、立駐機など概ね単機で30kVAを超えるものあたりは幹線直送りでも違和感はありません。
また、消防負荷は基本的に耐火ケーブルで幹線直送りとなります。これは盤を経由すると、その盤を耐火仕様にする必要があるなどのコスト観点、保守の観点から小容量でも直送りにした方がよいという考えになります。
消防負荷となる非常コンセントは地下や11階以上の階に設置しますが、これについてもキュービクルより直送りとします。
非常コンセントへの幹線は基本的に分岐幹線とし、1つの系統を8個までとします。負荷容量は1.5kVA/個とし、最大4.5kVA/系統とします。(8個繋がっていても同時使用は3個までの考えの為、3×1.5kVA=4.5kVAとします。)
消火ガス排出ファンも消防負荷の扱いとされます。こちらは制御が絡むので動力盤を経由するのが一般的です。
直送りした負荷は電灯設備図や動力設備図と電源供給が重複しないように気を付けます。
5.配線のルーティングで幹線長さを計測して幹線計算
各盤ごと(または幹線直送りの負荷)にキュービクルからの幹線亘長を計測します。
分岐幹線を使用する場合は、分岐前後で負荷容量が変わる分岐点毎に亘長を計測します。
亘長を計測したら幹線計算書を作成します。
幹線計算書は官庁であれば国交省書式を使用し、民間であれば書式は問われません。
どちらも共通してインピーダンス法にてケーブルサイズを求めます。
参考に書式と計算例を以下に示します。
この計算書の解説は後日記事を作成致します。
6.幹線計算結果からケーブルラック幅計算
幹線計算が完了し、ケーブルサイズが決定したら、そのケーブルが敷設されるケーブルラックの必要幅を算出する為、ケーブルラック幅計算を行います。
全ヵ所計算を行う必要はないと思いますが、キュービクル部、メインルートでケーブルの敷設数が多いヵ所、EPS縦程度は計算します。
計算書は官庁であれば国交省書式、民間であれば書式指定はありません。
参考で先程の電路計算書ファイルの別シートにケーブルラック幅計算書(民間仕様)も入れておりますので、ご参照をお願い致します。
共通して各ケーブル仕上外径+10mmの計+60×1.2で算出するのが一般的です。
この式の
+10mmはケーブル支持材幅
+60はケーブルラックの両端親桁幅
×1.2はスペース
となっています。
ケーブルラック幅が確定したら、各所にケーブルラック幅を記載し、防火区画の貫通ヵ所に防火区画貫通処理を記載します。
防火区画貫通処理は平面図に水平方向の処理を記載し、系統図に垂直方向の処理を記載します。
特にEPSの縦とキュービクル廻りは現状の計画で収まっているか再確認を行い、追加スペースが必要であれば早期に意匠、構造、機械設備と調整します。
基本設計でスペース問題を解決しないと、実施設計で他セクションの手戻りにもなりかねないので、確実に実施した方がよいでしょう。
以上となります。