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閑話休題「在宅介護の思い出あれこれ-その2」

今回は先日の記事の続きです。

前回は父が車の運転をやめるきっかけとなった出来事を書きました。

父は要介護度4の段階で亡くなったのですが、最後までこだわったのは「寝たきりにならない」事でした。

もう1人ではベッドから出る事も歩くことも出来なくなっていましたが、必ず毎朝決まった時間に寝室のベッドから居間の介護用の椅子まで連れて行って座らせる事を日課にしていました。

トイレもオムツをあてている状態でしたが、ポータブルトイレを椅子のすぐ横に設置して、なるべくそこで自分でする様に本人が努力していました。

食事も決まった時間に必ず一日三度食べさせる様にしていましたが、これは本人がそういった毎日の暮らし方にこだわったからでした。

当時の私の気持ちとしては、体が辛いなら無理せずにベッドで横になっていれば良いのにと思ったのですが、何が何でも一度は起きて椅子に座ることにこだわりがあった様です。

その事が父の体にとって良かったのか悪かったのかは、今でも私には判断つかないのですが、そうしたこだわりが父の生きるチカラになっていた事は事実だと思います。

当時私は在宅で仕事もしていましたので、出来ればデイサービスなどを利用して欲しかったのですが、本人がどうしても行きたくないと言うので、ケアマネさんに相談して必要な介護用品を揃えていただき最後まで自宅で介護を続けました。

ところでこの頃、父は突然体のあちこちが浮腫んでパンパンに腫れたようになる事が頻繁に起こるようになりました。

浮腫む場所は足や手指が多かったのですが、体調の悪いときには顔もパンパンに浮腫むようになりました。

ただ、それもずっと続くわけではなく場所を移動しつつも浮腫んだり治まったりといった事を繰り返していました。

当時は知らなかったのですが、心臓の働きが悪くなると血液だけでなく手や足などの末端の水分が循環しなくなるのだそうで、当時の父はまさにその状態だったと言えます。

そうした浮腫が段々と解消せずに慢性的に続くようになってきたのですが、何とパンパンに浮腫んだ足の皮膚からジワリジワリと水分がにじみ出すようになってしまいました。

もちろん汗ではありません。逃げ場を失った体液が皮膚の表面から吹き出すようになってきたんです。

放っておくとパジャマがベタベタになってしまうので、どうしたものかと考えたあげくに、ペット用の吸水シートを買ってきて、それを膝から下にぐるりと巻き付けるようにしました。

吸水シートはオムツと違って平らなシート状のモノですので、足の長さに合わせてカットして使う事が出来ます。

それを巻き付けてテープで留めてみたのですが、お陰でパジャマを汚すことはうんと少なくなりました。

ただ、染み出してくる体液が多い日などは一日に何回もシートを取り替える必要がありました。

長くなりましたのでこの位にしますが、この時に思った事は人間の体と言うのはなんとも不思議なモノだなあという事です。

そんな介護生活が終わって今年で丁度10年経ちました。

順番的には今度は自分が介護される側なのですが、父がこだわった様に寝たきりにならない為の規則正しい生活を自分も続けることが出来るのか…。

自信は全くありませんが、その為には強い意志が必要な事だけは父が教えてくれました。

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中嶋洋二郎
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