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閑話休題「調理と道具の話し」

「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、いくらその道の達人であっても道具が悪ければそれなりのものしか生み出せないのが現実です。

大谷選手がいくらすごくても軟式用のバットでは硬球をスタンドまではじき返すことは出来ないでしょう。

料理についても同じ事が言えるのですが、調理道具というのは先に作りたい料理があって、その為に道具が開発される面と、逆に道具が先に出来て結果的に料理のある部分が発展していくといった事も起こります。

例えば、最高のローストビーフが作りたいとします。

この場合、いくら最高の肉と最高の塩と最高のスパイスを用意しても、肉を焼くオーブンが無ければそもそも作る事さえ出来ません。

ローストという調理法は一番原始的な調理法とも言えますが、昔の様に外で焚き火をして肉をローストするわけにはいかないので、考えて作り出されたのが室内で使えるオーブンという事になります。

最初は薪を直接燃やす様な原始的なものが徐々に進化して、今では熱と蒸気を一度に照射出来るスチームコンベクションオーブンといった所まで進化しています。

これは先に作りたい料理が存在して、その為の道具として発展進化していった例ですが、逆に優れた道具があったお陰で料理が進化するといった場合もあります。

調理方法には「煮る」「焼く」「蒸す」「揚げる」の四つがありますが、日本料理にはこれにプラスして「切る(生)」という調理方法が存在します。

この「切る(生)」を一つの調理法として分けて考えるのは和食だけで、他の国ではこうした考えはありません。

つまり相当に特殊な感性を和食は持っているわけですが、これは世界的に見ても非常に優れた刃物が日本にあったから生まれた事だと言われています。

日本には日本刀の様に芸術の域にまで達した刃物が存在します。

そこで培われた優れた技術が、日常の道具としての刃物にまで広く浸透したお陰で、和食で使う包丁は世界的に見ても特殊でありながら大変優れた道具になりました。

私は料理人ですから当然一般の方よりも良い包丁を使いますが、洋食で使う両刃の洋包丁に比べて、切れ味という点では和食で使う片刃の和包丁にはかないません。

その和包丁を使って心を込めて作られるのが日本の「刺身」に代表される「生もの」という事になります。

懐石料理などで供される繊細な細工は優れた日本の刃物があって初めて生まれた技術なのだと思います。

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中嶋洋二郎
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