「医療とお年寄り」
老人向けの施設では介護士さんが投薬の管理まで行うのが普通です。
理由はやはりお年寄りが自分で管理できないくらい多くの薬が出されているというのが一番です。
私も実家で自分の父親を介護している時には、毎食後に何種類もの薬を父に飲ませるのが仕事のひとつでした。
飲ませる薬の処方箋を掛かりつけ医まで受取に行ったら、近くの薬局で朝・昼・夕と三種類の個別包装にしていただいて持ち帰るのが常でした。
そんな風に最初から分けて包装していただかないと、自宅でそれをやるとなると結構な手間も時間もかかる程大量の薬が出されていたという事です。
こうなると当然要介護の老人で管理するのは無理になってきますので、介護者が代わりにする事になります。
勿論医者や薬剤師でもない限りは、出された薬を種類が多いからと勝手に減らすわけにもいきません。
結局言われるがままに全部の薬を頑張って飲ませることに落ち着きます。
ところで、お年寄りが病院に入院すると、多くの場合入院前よりも悪くなって帰ってきます。
自宅や施設なら少しは運動や会話も楽しめていたのに、病院では薬を飲んでただじっと寝ているだけの生活になるので、あっという間に歩けなくなったり起き上がれなくなったりするわけです。
その上、多くの場合退院後は大量の薬を飲む事を義務づけられて戻ってきますので、客観的に見ると、薬を飲む必要のある体にするために入院した様に見えてしまいます。
これは勿論私見ですが、要介護のお年寄りにとって「医療」との関わりは、どうしても我慢出来ないレベルの痛みや症状が出たときだけ、その苦しみを緩和してもらう程度の関わりで良いのではないでしょうか。
その程度の関わりにしておけば、「念のため」に出される薬や「副作用を抑えるため」に出される薬など、無駄と思える薬を飲まずに済みます。
実際には多くの医師も薬剤師も、多剤を併用した場合の副作用について詳しくないのが現状です。
以前にも書いたことがありますが、私の父があるときパーキンソン病の様な歩き方をし始めたため医師に相談したら新しく出された薬の副作用だった事がありました。
処方した医師も、処方した段階ではその副作用を知らなかった訳ですが、私がこの事を疑って質問しなければ更にパーキンソン病の薬を出されていたでしょう。
結果的にその薬をやめたらパーキンソン病の症状も無くなりました。つまりこの薬は全く無駄だっただけでなく、父に新しい症状を引き起こしただけの毒物だった訳です。
実際お年寄りにとって、薬は元気になる為のものではなく現状維持を目指すためのものですし、薬のせいで謎の症状が出る事などあってはなりません。
私はそろそろ現代医療というものについて、私たち素人もしっかりと自分の意見を持つ時期に来ているのではと感じます。勿論、薬について勉強しろと言っているのではありません。
今まで無批判に受け入れてきた「お医者様」の行いを、「人としての生き方、在り方」といった医療者とは別の観点からの哲学を持つ事で、医療者と対等に向き合うことが必要なのではと感じます。
そしてそれが人生の最後を安らかに生きるためのコツではないかとも思います。
*アゼリアカルチャーカレッジ
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