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【すい臓癌の母とそれに向き合う家族の日記】その11 病院にいると悪化するのはなぜ?

食事はほとんどできなくなった母は、
栄養失調で点滴をするために入院していた。

2日後、
病院から帰ってきた母は、
言葉が喋れなくなっていて、
自分で立てなくなっていて、
目も片方があけれなくなっていて、
尿も管をつなげていて自分でできなくなっていた。

本当は1週間入院の予定だったが、
末期状態と言われ、
私達はどこまでできるか分からないけれど、
一回家に戻そうと半端強制的に家に連れ戻した感じだった。

介護経験がない私たちは、
何も知らなくて、自分で立てない人をどう支えればいいのかも、
動けない人の下の手入れも分からず、
私達の体はバキバキになるしゆっくり眠れず、
帰らせた選択がよかったのか少し思ったりもした。

でも、夜中の4時に母が呼ぶ声がして行ってみると、
意識が少し正常になり、
何週間ぶりにちゃんと会話ができた。

お腹すいたというので、
母が食べたいものを全部用意した。

まったく食べれなくなっていた母が、
「美味しい。」と言って沢山食べている。

私が買って飾っていたお花を見て綺麗といい、
お花をかいでいる。

美しい曲や好きな人の曲をウットリして聞き入り涙を流し、
兄が頭や顔のマッサージ、お灸をしてあげると、
「気持ちがいい」と言い、
母がネイルをしたいと言っていたので、
兄がジェルネイルを覚えて母にしてあげると、
「綺麗」と何度も爪を眺めて、
いい香りのエッセンシャルオイルをぬってあげると、
「良い香り」と嬉しそう。

「退院できてよかった。」と母は何度も言っていた。

せん妄がはいって、
自分の言いたい事と言葉があべこべになってしまった母は、
病院にいる時は、「退院したくない。」と言っていた。

家族は帰ってきてほしかったので、
兄は母が喜ぶには?と考え、
長年付き合っている彼女と結婚する事を決心して、
看護師さんにお願いして、
連れて帰れた所もある。

家に帰りその報告を聞き、
母は良かったと涙を流していた。

何はともあれ、
母が家に帰ってきて幸せそうで、
まるで仏様のような笑顔で笑っている姿を見れて、
本当によかったし、
大切な人が笑顔だと、
また頑張ろうと思うのです。

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