マーケティングの数字①売上を、消費者行動に変換する
以前に書いたことと重複しますが、
僕はマーケティングは「数字」と「人」の理解が必要だと思っています。
・「数字」はマクロの視点で、ビジネスの問題点を見つけるのに
・「人」はミクロの視点で、ビジネスの解決策を出すために
それぞれ必要、といったニュアンスでしょうか。
逆に、どちらかだけ見ていては失敗することも多く
・「数字だけ」見ていては、うまく人が動かず
・「人だけ」見ていては、うまく規模がとれない
…ということが多いです。僕はどちらの失敗もしたことがあります。
では、どんな数字を把握していくのがよいでしょうか。
一般的に売上、利益率、販売個数…などは
企業側で最もよくみている数字でしょう。
しかし、これらの数字だけを見ていては今の課題や効果的な打ち手も見えにくいことも事実です。そこで「事業の数字」を「消費者の行動」に変換します。
当たり前ですが、売上は「購入者数」×「購入金額」に分解できます。
さらに、1年間の間に数回購入することを考えると「購入頻度」という概念も発生します。これらを整理すると
年間売上 = 年間購入者数 × 購入単価 × 年間購入頻度
にざっくり分解することができます。
売上が減っているときに、どこが減っているのか。
あるいは売上を増やすときに、どこを増やせねばならないのか。
…という視点でチェックをすると良いでしょう。
購入者数
→
売上に対して一番ドライバーになりやすく、仕事でも最も醍醐味のある箇所です。マーケティングはこの「購入者数を増やす」ことを目指す場合が多いと思います。各種広告による認知の拡大、魅力的なベネフィットの商品開発、売り場の開発などすべてがここにつながります。ワードとしては「購入者数」「浸透率(年に1回以上買った人の数)」サブスクであれば「新規人数」「定期人数」等が使われます。
購入単価
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いかにして、高いものを買ってもらうかです。プライシングの場合もありますし、いかに「価値がある(と消費者が思ってくれる)」新商品やラインエクステンションをするか、といった場合もあります。大容量パックのまとめ買いやクロスセル、アップセルといったものも単価を上げる施策の1つです。
購入頻度
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購入頻度を高めてもらう、です。流通などのポイントカードをはじめとする各種CRM施策などは、これを狙ってやっている場合が多いでしょうか。面白い例としては、「味の素」が穴の数を増やし(≒1回あたりの使用量を増やした)頻度を高めたという話を聞いたことがあります。「リピート率」という言葉がよく使われます。
…と、ここまで書いてきましたが、
「購入頻度」については結構コントロールが難しいと個人的には思っています。自ブランドだけの頻度を上げるのはかなり難しく、上げるならカテゴリ全体にならざるを得ない。というところでしょうか。
「ダブルジョパディーの法則」というものがあり、これは「浸透率」が高いブランドは「平均購入頻度」も高いという法則です。
「平均購入頻度」×(100%ー「浸透率」)をすると、同じカテゴリであればどのブランドでも近しい数字になるという法則で、つまり「購入頻度」はそれだけではコントロールできない、実質的には「浸透率」の関数である、ということを示唆しているようにも思えます。
特定の歯磨き粉を使う人だけが、歯磨きの回数が増えたり、特定のビールを飲む人だけが、飲酒の回数が増えることはない(カテゴリ自体の回数に収束する)というイメージでしょうか。
※ 逆に言えば、カテゴリ自体の浸透率(≒利用機会)を増やせばやりようはあるかも、とは思います(昼の歯磨きを習慣づけ、「昼専用歯磨き」を売り出す、というイメージです)
話が逸れてしまいましたが、そういったわけで個人的にマーケティングで最も重要なのは「ブランドの購入人数を増やすこと」だと思っています。
では、購入人数を増やすためにはどんな数字を意識してみていけばよいか?
は次の記事で書いていこうと思います。
参考文献: 芹澤連著「未顧客理解」日経BPマーケティング
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