43歳一独身公務員の旅行記(ニューヨーク編)④「セントラル・パークの青い空みながら、淡い恋を想い出したのだ」
2018年12月29日 ニューヨーク3日目。
AM8:30
バンダービルドYMCAにて目覚める。
窓から光が差し込んでいる。なんでか、沸々と勇気が湧いている。前向きで、攻撃的で、アグレッシブで、イケイケで、もう何も怖くないような・・そんな気分だった。
「ああ、ニューヨークや。今僕、ニューヨークにいるんや・・・」
僕はランニング用の短パンとTシャツに着替えて、近くにあるというセントラル・パークを目指して走り出した!!ウオー!
ニューヨークのマンハッタン、という舞台がそうさせるのか。僕は鼻息荒くし、いつもより確実に早いペースで、確実に長いストライドで、力強くランしていた。例えるならば、Jリーグ最多得点記録保持者のフォワード大久保嘉人が、スルーパスに鋭く反応し、空いたスペースにギュウン!て入りこんでいくときみたいといったところか・・。
・・といいつつところどころ写真を撮ってはいるのだが。
セントラルパークについた!
冬の公園。並木道・・・。
まさに映画の世界そのものじゃないか・・・。
僕はふと、ランニングをやめた。
セントラル・パークの並木道をゆっくりと歩き始めた。そのロマンチックな雰囲気を、全身で感じたくなったのだ。
脳内にサイモン&ガーファンクル の名曲「サウンド・オブ・サイレンス」のメロディが流れ始める。中学、高校の頃、朝にオカンがリビングのレコードプレーヤーでかけてくれていた曲だ。
並木道を抜け、少し歩くと芝生の広場があった!みんな、座ったり寝込んだり、思い思いの時間を過ごしているようだった。
「よし・・・!」
僕はセントラル・パークの芝生に大の字仰向けに寝っ転がってやった‼︎
気分爽快だった!
ニューヨークの青い空を眺めながら、いつの間にか高校時代を想い出していた・・。
僕は中高一貫教育の学校に通っていた。
そして中学校の時からずっと好きだった女の子がいたのだ。中3の時、たまたま席が隣になったことがきっかけだった。
その子はとても明るく優しい子で、当時女の子と全く、そう、本当に全く話せなかった僕に何かと気さくに話しかけてくれた。
美術と音楽が好きな子だった。
「ミスチル、スピッツ、Oasis、ほんでサイモンアンドガーファンクルが好きやねん、めっちゃええんやで、」とにっこり笑っていうのだった。毎日学校にいってその子と話せるのが楽しみで楽しみで仕方なかったことを覚えている。
ある日のことだった。
「オギヤマくん、これあげるわ」
と、その子が音楽雑誌の切り抜きページをくれた。僕の大好きな、スピッツの草野マサムネがアップでうつったページだった。
「マサムネさん好きっていってたやろ」
嬉しかった。それはもう気が狂いそうなくらい。僕は嬉しすぎて、嬉しさががある一定のボーダーを超えて、家に帰ってから部屋のベッドに飛び込み、絶叫しながら枕に顔をこすりつけまくったものだ。
しかし高校に上がるきっかけで、成績優秀だったその子と僕はクラスが離れてしまう。(ちなみに当時僕の成績は218人中160番目くらいだったのだが)
自意識過剰な僕はその子を意識し過ぎてしまい、結局その後、学校の廊下ですれちがっても、話すことはおろか挨拶さえもできない、というコジラセブリであった・・・。
フフッ
フフフ・・・。
・・・。
「ハッ!!」
「そや、ニューヨークきてまでウットリおセンチかましてる場合ちゃうで・・・」
「せやで!!いくで!!」
つづく
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