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43歳一独身公務員の旅行記(タイ編)①「バンコク・シーロムの怪しい夜」
奇しくも八月八日。僕の43歳の誕生日。僕は八月八日になった丁度その時(深夜午前0時)タイ・バンコクにいた。そしてもうかれこれ30年来の付き合いである友人Kと共に、高速道路を走るタクシーの中にいるのだった。
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「夏にバンコクいく?」
そうKからLINEがあったのは、6月末のことだった。僕は一も二もなく了解した。
Kと僕は、地元大阪のとある田舎町にある私立中学校で知り合った。Kは高校卒業と同時に東京の大学に行き、今は個人事業主の弁護士として働いている。(ちなみに僕は地元大阪の小学校教諭として働いている)
38歳くらいからだろうか。
「もういつ死ぬかわからんし、いや、ほんま明日死ぬかもわからんし、せめて今を楽しもうじゃねえか」みたいな話になり、二人で旅行に行き始め、今回のタイ旅行に至る。
あ、ちなみに・・二人とも、独身です。
(静岡の温泉旅館ではゲイカップルに間違えられた。しかし、ゲイではないのです)
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高層ビルもポツポツ見えるくらいで、
辺りは思ったより都会ではなく、暗かった・・。
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予約したBooking.comの写真とは少々異なりホテルはこじんまりとしていたが、対応してくれたホテルマンは温和で丁寧だった。
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時刻はタイ時間で深夜一時前。
「よし!じゃあちょいとコンビニにいくがてら散歩しますか!」
ということで僕とKはホテルをでた・・!
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ホテルをでる。ムワッとした温かい空気。道路には汚れた塀。塀からはみ出た木々。老朽化したアパート。通り過ぎるバイク。犬。そして、下水道なのか、かなり独特なにおい・・・。一言でいうなら、かなり、怪しい雰囲気だった。
ウワー、キョーレツやな。胸がざわついた。ハッと目が覚めた気がした。
この胸のざわつき。旅特有の。久しぶりに感じる。
ああ、外国にきたんだー、僕は久しぶりに外国にくることができたんだー。そう思った。(前回の海外旅行であるニューヨーク旅行から、実に6年の年月が流れていた。)
「よし、じゃあちょっと、中心地にいくっすかね」
「あ、ああ」
Kは、もうタイには何回もきており、迷いなくズンズン歩いていく。僕はタイの独特の雰囲気に気圧されながら、Kにただついていった・・・。
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夜市が行われていたらしく、その熱気が残っていた。
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日本人をターゲットにしたお店が多いらしい。
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昔の、心斎橋の裏通りみたいな雰囲気があった。
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「ゴーゴーバー」というらしい。タイにはゴーゴーバーがある。暗い通りに怪しくピンクに光るお店があり、水着?みたいな下着姿?みたいなお姉さん達が手招きしてくるではないか!(さすがに写真は撮れなかった)
店内をドギマギしながら覗くと、爆音が漏れて、やっぱり水着姿のお姉さん達がピンク色にライトアップされ、クルクル踊っていた・・・!!
「タイでは、ゴーゴーみたいなお店があって、オギヤマさんが嬢を気に入ったら交渉して、いわゆるお持ち帰りすることもできるっす」
Kは平然と言うのだった。
「そうなの!?」
勿論、根が至ってビビリにできている僕は、そんなことできる訳もなく、(なんか怖いヤクザみたいな人がでてくるかも)と思い逃げるように店を去った。
シーロムを小一時間ブラブラと歩き回っただけだったが、さっそくタイの洗礼を浴びたようだった。この夜の怪しい雰囲気、悪くない・・・。
また、いつもは冷静なKも心なしか高揚している様に見えなくもない。
「いいじゃないか・・・なんだかとってもいいじゃないか!」
こうして、僕とKのタイ旅行は始まったのだった。
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