シンプルは足し算ではなく引き算
シンプルという言葉に惹かれる。
何だかオシャレだし、洗練されている印象
この言葉は日常的に分野を問わず使用されていますが、私の中ではファッションやインテリアの主軸になる考え方です。
最近、なんとなく自分が惹かれているアート作品があって、同一視野には入っていたけれど認識はしておらず、注目していなかったアーティストがいます。
認識したのは某デパートのPOPUPイベントで展示されているのをたまたま観たときだった。
「あっ、この作品見た事がある。」なんか頭の片隅に存在してはいたけど捉えていなかったものだ。と気付き、すぐに魅了されました。
福岡出身のアーティスト、KYNE(キネ)さんの作品です。
作品の多くは実在しない女性だそうですが、あえて表情がなく、印象を鑑賞者に委ねているそう。
シルクスクリーンという技法を用いて制作しています。
どれもシンプルな仕上がりの作品で、過度な主張はせず、雑味がなく、余白を残すことで鑑賞者を魅了します。
アートに対してまだまだ解像度の低い私にとっては、なぜか惹きつけられる作品と言えます。
そうシンプルなんです。
ここで素人の私は、シンプル=簡単に、複雑=難しいという印象を持っていましたが、KINEさんの製作方法を知って、ハッとさせられました。
まずはデッサンをして、それを取り込んで余計な線を消していくそうです。
KYNEさんは日本画を専攻していたこともあって、足し算のアートよりも引き算で洗練させていく、余白を大切にした考え方もお持ちなんだと思います。
そう。シンプルは簡単にではなく、洗練なんだと。
考えてみれば、「デニムにTシャツでオシャレ」が誰にも心を開いているわけではなく、そこには絶妙なサイジングやバランスが必要で、オシャレ初心者と上級者を比べた際に、同じアイテムでも全く違う印象になるのは私でも知っている。
それは、その域に到達するまでに様々な着こなしに挑戦して、仮説検証を繰り返して、究極的に洗練させた状態だといえる。
と言うことは、何事にもシンプルに対応するということは、極めることが必要ではないでしょうか。
必要なものを足していく過程は、手当たり次第な部分もあるのでそこまで難しくないかもしれない。しかし、そこから削ぎ落としていくには本当に必要なものがわかっていないとできない。
話は少しそれますが、洗練されたものに惹かれるという部分で、私はグッドデザイン賞も毎年気になっています。
機能的な部分はそのまま、極限まで無駄を省いたり、角を取られたデザインに魅力を感じてしまいます。
今後は、シンプルなものを受け取るときは、それによって淘汰されたものは何なのかを考え、シンプルに対しての解像度を上げていきたいと思います。
特にアートは制作過程で削ぎ落とされた部分、作品の文脈を知ることによってアーティストの考えに触れる事ができるかもしれない。
アートの楽しみ方の一つですね。
シンプルが好きで、そんな暮らしを望む人も多いと思います。
そこには洗練が必要になります。
何を選んで、何を選ばなかったのか。そんな人の考え方に触れるのも私はすごく好きです。自分と違う考え方に出会ったときは特に興奮します。
日々、新しい気付きに出会いたいです。
今日もいい一日です。