職業訓練中のお金的なリアル
ハローワークの職業訓練に行っていた話は、ここ最近結構しているのですが、色々な皆様の投稿を見ながら、あまり触れられていない『お金』についての部分にちょっとフォーカスを当てて書いてみようと思います。
いわゆる日本的生産性を低下させる制度
ざっと私の環境をまとめますと、
・ずっとカツカツの環境で生活していたので、ろくに貯金も無く、資産もない
・前職、前々職が業務委託だったので、雇用保険が無く失業手当ももらえない
ということがポイントとしてあげられると思います。
失業手当がもらえない人は、条件を満たせば月に10万円の給付金がもらえるのですが、そのハードルが高いです。その条件は、『月に税込88,000円以上の収入を得ないこと』です。
ハローワーク(行政)の考え方的には、88,000円=雇用保険加入の目安に達成しているのなら、別に助成金なくても大丈夫じゃない?みたいになるらしいですね。全然そんなことないですし、いわゆる130万の壁とか、今度の政策の税制優遇みたいに、『働きたい人に損得勘定や過負荷を与えて労働意欲を無くす』というのは、日本の政治的な考えの不思議なところだと思います。
誰を基準にしているかわからないような「普通」
助成金をもらうためにもさらに詳細なルールがあり、必然的に雇用物件に入らない勤務をすると言う事は、正社員クラスの収入がなくなると言うことです。
しかし助成金をもらうルールの中に就業形態は明記しておらず、逆に言うとあくまでも収入ベースで初月の助成金が下りるかどうかは決まってきます。
私の場合は3月末で仕事を辞め、4月の中旬から職業訓練に行くことを希望し、同時に助成金の申請も行いましたが、前月に収入がある場合は、88,000以上の収入があるとその段階でみなされて初月の対象から外れてしまいます。
これが大変に厳しいもので、私は痛い目を見ることになります。
勉強するために借金をする
私、実はその時の職業訓練を受ける選考に漏れてしまいました。
もう一度時系列を整理すると、3月末に仕事を辞め、4月末からの助成金をもらうことができず、もう一度5月の中旬の職業訓練の選考を受けるために、4月から5月の収入を絞り、環境整え望みましたその結果、収入が激減し、4月から5月の収入を借り入れに頼るしかなくなったのです。
これはそれぞれ環境によるところが大きいですが、人によってはそういうことを備えて蓄えをしておくことが大事だとか言う人もいるかもしれません。
それはそうですが、そのような環境に身を置くことができない人も、この非正規雇用が多い世の中では大変多いことも事実です。
実際私が職業訓練の申し込みをしている隣の窓口で、40代を超えた女性が大きなリュックを背負って、社員寮のある建設現場の面接を受けたいと懇願している場面がありました。
世の中で、何の仕事が何の仕事よりも優劣がある、などということは思いませんが、何か大きな転換をしたいと考える人にとって、現状の日本の社会ではそれが許されない状況になっていると考えてもおかしくは無いでしょう。
多くの人がひとまずの不自由のない暮らしができていると考えられる日本社会ですが、一方で働けると言うところで生活保護の基準にも達しない、ただ日銭暮らしに追われて安定した職探しに時間をかけるにはあまりにも余裕がないような、非常にアンバランスな状態が構築されているのも事実です。
セレブの集まりか何かか
実際に半年間職業訓練を受けてみて、これは私の通ったクラスだけの話かもしれませんが皆さん余裕がありそうな予想を持っているように感じました。
例えば雇用保険に入っている人は、自己都合退職で辞めたとしてもこの訓練を受けることにより前倒しで失業手当が入ってきますし、多くの方はご結婚をされていたり、ご実家で生活をされているような方々でしたので、生活の面については正直なところ、そこまで切羽詰まっている様子が見受けられませんでした。
つまり私の横で大きな荷物を背負ってハローワークに懇願している女性のような方はおらず、また職業訓練自体もそのようなゆとりがない人は入れないと言うような、同じ求職者といえども格差が生まれるような状況があると感じます。
職業訓練の銭勘定
職業訓練は無料です。そして10万円の給付金がもらえます。
これを置き換えると、10万円プラススクール代を国から支給されていると考えても良いでしょう。
しかし結局事業委託を受けた民間がスクールを運営しているので、補助金など関係なく勉強そのものを生業にしている大手とは、やはりクオリティに大きな差があると言わざるを得ません。
生活費からスクール代から稼いでキャリアチェンジを狙うことも、職業訓練を有効利用するのもどちらも大事ですが、いずれもそれをやったところで「へぇ」と言われておしまいの可能性はじゅうぶんありますので、ハローワークも転職に有利という触れ込みで運営ていますが、過度な期待は禁物だと思います。
いかがでしょうか。
私は今回の職業訓練で、ひとまず不安定な収入状況から正社員になる事ができましたが、そうでない方もたくさんいらっしゃいます。
海外のベーシックインカム制度などが度々話題になりますが、多くの人が向上心を持って物事に向かっていける世の中になれば良いと思います。