「居場所」を探して
娘が小1の夏休み明け「学校行きたくない」と言い出し、11月の学芸会後に完全不登校になって、もうすぐ一年。
えっ、まだ一年しか経っていないのか……。とビックリしてしまった。
去年までは一年が経つのはあっという間だったが、この一年は本当に長かった。前半は「学校へ行けない」辛さもあったが、後半は「学校へ行かない」道を選択したことで、どんどん刺激を得て新しい価値観をインストールするというか、子どものように学びが濃すぎて長く感じた一年だった。
誰のための「居場所探し」だったのか?
今の娘の元気な姿を見た人は信じられないかもしれないが、最初の半年~4月くらいまでは、正真正銘のひきこもりちゃんだった。日中もカーテンを閉め、外にほとんど出ず、Youtubeでクレヨンしんちゃんを一日中見てた。あるいは、ひたすら一人でダンボールで何かを作っていた。キッチンや洗濯機、車まで…。あるいは、お裁縫で何かを縫っていた…。
外に定期的に出るようになったのは、自分が痛くてたまらないから、という理由で歯医者さんくらい。それも、いつもと違う時間帯だと落ち着かない、と行かなかった。
私は当時、居場所を作らなければ、と必死だった。私立への転校も考えていたが、見学で気に入ったと言ったものの、試験は門前辞退。フリースクールや運動不足解消にOT(作業療法)にも行こうとしたが、嫌がった。
ある時、久々に小学校のママ友二人が、お子さんと一緒に家に遊びに来てくれた。喜んで娘が遊んでいるのを見て、「あ、外には出たくないけど、家だったら遊びたいんだ」とわかって、それから少しずつ友だちを家に呼ぶようになった。
あたりまえだけど、娘の居場所は「家」だったのだ。
誰のための「居場所探し」だったのか。居場所を作りたかったのは、私のためだ。私が一人になれたり、はじめたばかりの在宅仕事の時間がほしかったからだ。
でも、今は優先順位が違うなと。まずはこわばっている娘の気持ちをほぐすことだ。
外に無理して行こうとするのをやめた。そのうち「ヒマー」というようになった。少しずつパワーがたまってきたのがわかった…。
今思うと、あのひきこもりの時間は、充電期間だったとわかる。
「蛹」の時期の長さは人によって違うけど、必要な期間なのだ。
娘、いつの間にか複数の「居場所」ホルダーに。
そこから、本人に提案して選ばせたり、希望をききながら、少しずつ外に出始めて…。現在、家をベースに娘の居場所は大きく分けると5つできた。
居場所といっても、必ずしも固定の「Place」ではない。
娘が安心して出かけられるところ、楽しくつながれるところが「居場所」なのだ。コミュニティとかつながりと捉えた方が正確かもしれない。
参考になればと思い、細かめにあげてみる。
1.ホームスクーラーとおでかけ
「日中外出することに、引け目を感じることはないんだ!」と私が目ウロコの体験をしたのが、この「ホームスクーラーとおでかけ」企画。
外に出たい、お友達と遊びたい子どもの思いを叶えられ、親同士も繋がれるという一石二鳥のイベント。「子育ての『再』デザイン」マガジンメンバーでもある、ホームスクーラーマップの小田恵さんがはじめ、今や様々なホームスクーラーが「おでかけ企画」を作り、発信中。
↓ 興味がある方は、Facebookの公開グループに参加してみてね。
2.地元商店街のホコ天
近隣の商店街と大学の地域コミュニティ関連のゼミの学生さんがコラボしているプロジェクト。毎週ホコ天で、大学生のお兄さんお姉さんが遊んでくれる時間帯があり、ほぼ毎週通っている。ここでいっぱい遊んでもらってだいぶ元気になったなあ。毎週行くところがあるのは良い。あと親だとやはり離れすぎるので、この年代の人と関われるのは素晴らしい。
私は近くのカフェで一息つかせてもらったり、ホコ天に一緒に座って大学生とお話ししたり、自由にできるのがとても有難かった。ちなみに、小学校の友だちも一緒に行ったり会ったりして遊んでいる。
3.多様な学びプロジェクト@せたがや
地元で、不登校や発達凸凹の当事者の親たちが中心となり、学校だけにとらわれない、すべての子どもたちに必要な、新しい学びのあり方を作っていこうというプロジェクト。
結構な頻度で集まって様々な活動をしているのだけど、娘はこのお母さんたちといると安心するらしく、ほぼ毎回一緒に参加している。たぶん娘自身もメンバーの一員として参加している(すぐ飽きるけど…💦)
こどもの「好き」「やりたい」から学びを作る「まちの先生」の一環で、今日は「せたがやマイクラ部」が立ち上がった。娘自身はゲームはそんなにやらないのだけど、参加してやり方を「マイクラ大好き」なお友達に教えてもらって、作る楽しさにドハマり。こんな入り方もあるんだな、と思った。
4.習い事など
一斉指示を受け止めづらい、集団行動が苦手な娘には、少人数で対応してくれるところが合うみたいで、今は「好き」を起点にして、運動メインのOTとYoutuber教室に通っている。両方とも、娘の良いところを見てくれるのが続けられている大きな理由。
5.小学校の友達との遊び
1学期しか行かなかったわりには、意外と小学校からの友達もいる。「なんで学校来ないの?」とも聞かれることもあるけど、今は「行きたくないから」「楽しくないから」と答える娘。
なお「学校以外で学んでいるから」という自覚はまだほとんどない…笑。教科学習はしていないけど、生活と遊びからいっぱい学んでるんだけどね。
周りの子たちも慣れてきたのか「学校楽しいのに―」「ふーん。来たくなったらおいでー」という感じ。この緩さがありがたく、ちょうどよい。
* * *
人は、複数のコミュニティを持つと、どこかがうまくいかなくても、他のところで癒され元気を保つことができるという。子どもも同じ。それまでは習い事もしていなかったので、コミュニティが小学校しかなかった時に比べると、逆にすごくいい感じになっている♪
居場所との関わり方も娘にとって「そのままでいても安心できる場所」に加えて「学ぶ」という要素が少しずつ増え始めているように感じている。
「元気になったね」と言われて気づいたこと
この前、数か月ぶりにあったホームスクーラーの友人に「娘ちゃん、前より元気になったねー」と言われて、「あの時は、ひきこもりから脱したばかりだったからね…」と答えて気がついた。
あれ、のびのび育っていたと思っていた保育園時代よりも、今のほうが元気かも…。
考えてみれば、家では今と変わらず元気いっぱいだったが、保育園では周りからクールと思われていた娘。個人面談の時も「もう少し甘えてくれていいのに」と言われていた。
その子らしさを尊重してくれた保育園でさえそうだったのなら、小学校にい続けたら自分を出さずにいたままだったかもしれないなと思う。
今も初対面の人や場では目も合わせられないくらい緊張するが、自分を出せるようになるまでの時間がすごく短くなった。慣れると話し過ぎて動きすぎてうるさいくらいだ。運動もたくさんする。
いろんな居場所で元気いっぱいに遊び、一日の終わりに「あー楽しかったー」「あーシアワセ―」というようになった娘の笑顔が大好きだ。
将来のことはわからないけど、この笑顔と健康がベースにあれば、選んだ道を正解にしていけると思うんだ。