料理で学ぶ生産工学〜料理は工学?〜
料理は工学でしょうか?それとも芸術でしょうか?料理にも色々な料理があります。今回、生産工学について学ぶ題材として例える料理は、あくまで家庭料理です。これは、家庭料理が、生産工学と同じく、失敗する可能性を低め、再現性が高く、誰でも作れることが重視される為です。
料理は芸術?工学?
料理は工学じゃない!芸術だ!とおっしゃる方もいるでしょう。
おっしゃる通りです。料理は芸術です。料理が得意な人にとって、レシピ通りに作る料理なんて面白みに欠けます。自分の感性を働かせ、食材の味を感じながら、調理方法を考え、最後に五感をフル活用して味を整えます。
そんなクリエイティビティを掻き立てる料理も、私は大好きです。
実は私、ちょっとその世界では有名な俳人を母親に持っている為、芸術には少し理解があります。よくその芸術家は、「多作多捨」が大切だと言ってました。より良い作品を生み出すにはたくさん作って、たくさん捨てることが大切だと。失敗なんか恐れて何も作らないで、いいものなんて作れしないと。
創造的な料理でも、創造性を発揮する為には時には失敗することもあるでしょう。しかし、失敗が許されないシーンもあります。
ある条件下の料理には工学が必要
平日の子供や家族に作る家庭料理は、時間が限られており、創造的な料理に挑戦して、失敗してしまうと大問題です。子供は腹を空かせている為、不機嫌になり、泣きわめくかもしれません。また、失敗した料理を食べさせると、健康を害してしまうかもしれません。その為、平日の家庭料理はある程度失敗を回避できる料理にすることが得策です。
もちろん、芸術を否定するわけではありません。私も発明家である為、創作料理を作るのが好きです。しかし、それは時間に余裕のある週末や、自分だけ食べる時のお楽しみ。腹をすかせた子供を前に作る料理はある程度成功が約束された方法で作ることが求められます。
失敗を避ける標準作業手順というレシピ
失敗を避けるための料理の手段として、「レシピ」があります。食材をこの手順で、下処理し、調味料はしっかり測ってこの配分に入れる。すると、いつもと同じ味が再現できます。
これが料理の「レシピ」であり、工場の「標準作業手順」になります。
重要なのは誰でも再現可能な事
「標準作業手順」の、重要なポイントは、誰でも再現可能な事です。例えば、高度な技術を求められる作業でしか作れないと、一部の人しか作り上げる事は出来ません。もちろん、それは工芸や、芸術の世界では非常に価値のある事です。しかし、工業では、認められません。
これは、家庭料理でも、同じです。人間誰もが料理が好きで、料理のスキルを磨いているわけではありません。料理をするのが好きではなく、苦手意識があったとしても、家族の為に作る必要があります。苦手な人でも作る料理、それが家庭料理です。そんな家庭料理において、誰でも作れる作業手順であるレシピはとても重要な要素です。
家庭料理がテーマ
つまり、この生産工学を学ぶ為に例える料理とは、家庭料理です。(料理の創造性と、芸術というテーマも共通項が多く、非常に面白いかもしれません。)
家庭料理には以下のことが求められます。
失敗する可能性が低い事
再現性の高い事
誰でも作れる事
生産工学でも、同じことが求められます。
その為、料理のレシピに当たる、標準作業手順は生産工学において非常に重要な役割を担います。
次回はこの標準作業手順について、レシピを例にしながら書きたいと思います。
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