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GOODBYE WORLD

ゲーム説明

 「GOODBYE WORLD」を遊びました。ふたりの女性がゲーム制作をするアドベンチャーゲームです。フリーター生活を送る現在に学生時代の回想を挟みつつ、全12チャプターで進行していきます。温かみがありつつも格調を持つドット絵で切り取られるシーンは、映画を見ているようでした。
 チャプター毎にGBAを模したミニゲームが挟まります。作中のミニゲームが蟹井の心象を表していると思います。暗い洞窟ステージはBGMと相まって不気味で、チャプターに不穏さを感じました。ミニゲームの難易度もストーリーの進行とともに難しくなります。人生の難易度とリンクしているようで、息抜きで遊ぶ立ち位置ではなかったです。

あらすじ

 ドット絵の世界とかわいい絵柄に引きこまれて、序盤の回想から蟹井に魅せられます。GBA風のゲームに魅力を感じていて、共同制作課題に取り組むクラスメイトに丁寧なドット絵を求めます。作りたいものがハッキリしていて、周囲に軋轢を起こすレベルで言いたいことを言います。
 そこでイラスト科の熊手が「私とゲーム制作をしましょう」と手を挙げます。熊手という女性は、蟹井の本作の最初で最後のファンです。あとは蟹井のアンチしかいません。ふたりの出会いから、ゲーム制作と蟹井の葛藤がはじまります。

プレイ

 「#7無価値なゲーム」が本作で一番印象に残っています。蟹井が酷評されて、カリスマが削られるチャプターです。ドット絵で表現された夢のように美しい世界に、現実が流し込まれます。社会人なら面接で一度は経験する、履歴書・ポートフォリオの粗を探されるだけの時間、そんなシーンです。売り込んだ受賞作品は、熊手しか評価されていませんでした。

パブリッシャー
「そもそも―― 
 私が商品価値を感じていたのは蟹井さんのゲームではなく――
 熊手さんが書いたドット絵なんですよ 
 …それが無くなった今――
 蟹井さんのゲームにはまったく価値を感じません

GOODBYE WORLD「#7無価値なゲーム」

 パブリッシャーの批評は、筆者にもバツが悪かったです。感情移入して、蟹井の味方でいました。ただ、本作を手に取ったのはドット絵に魅力を感じたからです。ストーリーをテンポよく進めたかったのでミニゲームは攻略せず、残機を自殺で減らしていました。パブリッシャーの批評は正確で、プレイヤーもミニゲームに魅力を感じていなかったことを暴かれてしまいました。蟹井のファンは、熊手しか登場していなかったのです。

感想

 きらら萌え系ゲームのようなかわいいキャラデザで、胃もたれするほど現実を味わえます。「作りたいもの」の存在が、ゲームクリエイターにとって希望なことが伝わりました。そして蟹井にとって理解されたい相手は誰なのか、最後までプレイするとわかりました。

#GOODBYEWORLD #ゲーム #ゲーム感想文 #インディーゲーム


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