★映画鑑賞note : Carrington
「キャリントン」"Carrington" (1995年)
先日、今まで書いた記事を整頓するのにマガジンをまとめていて、「映画鑑賞note」の見出し画像に使えそうな写真を探していたら、「キャリントン」の(公開時の)ビジュアル写真がいい感じでした。少しくすんだ空の色合いが、イギリスらしくてお気に入りです。1995年のカンヌ映画祭審査員特別賞&ジョナサンおじいちゃんが主演男優賞を受賞した作品。
20世紀初頭の、ブルームズベリー・グループのメンバーだった伝記作家リットン・ストレイチー(ジョナサン・プライス)と、パートナーの女性画家ドーラ・キャリントン(エマ・トンプソン)の、出会いから亡くなるまでを描いた伝記映画で、2人+ドーラの夫(詳しくはあらすじを)の3人が暮らしたカントリーハウスが、景色も内装(キャリントンの手によるもの)も、とても美しくて印象的です。キャリントンの、飾らないコットンのシャツやワンピース姿も素敵です。
ストーリーは何だか報われないというか、まあそうなるよね、という内容ではありますが〔Lytton: "I don't know what the world has come into: women in love with buggers and buggers in love with womanizers..."/リットン:「なんて世の中だ。女性はゲイの男に恋し、ゲイの男は女たらしに恋をし、(続き)石炭の値段は上がる」〕、病弱なリットンに対するキャリントンの献身振りや、リットンのユニークながら温かな愛情と眼差しが、夫婦や恋人以上の関係を築いていて、素敵でした💘 それだけに最期が悲し過ぎます。
エマ・トンプソンの体を張った演技は、さすが女優といった感じだし(正直そこまで・・・と思いましたが)、ジョナサン演じるリットンのちょっとキモいけど面白くて優しいキャラが、不思議な魅力で良いです。キャリントンが明け方にこっそりリットンの髭を刈りにくるシーンが好きです。
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映画ではさらっとした扱いだったと思いますが、原作(マイケル・ホルロイドによるリットン・ストレイチーの伝記)では本人たちの手紙の内容をメインに、様々な出来事が綴られていて、キャリントンが家探しに奔走したり、カントリーハウスに落ち着いてからは、ガーデニングや家庭菜園をしたり動物を飼ったり、料理や家のことを一手に担いながら生活を送っていたり、2人や3人で色々なところに旅行へ行っていたり。映画ではメインになっていた、男性との混み入った恋愛の話よりも、ボヘミアンな暮らしぶりが面白くて興味深かったです。あと、リットンは作家のヴァージニア・ウルフとかなり親しかったようで、ヴァージニアの手紙もよく出てきます。キャリントンもヴァージニアも悲しい最期を迎えているし、女性が自分らしく生きるには、大変な時代だったのが伺えます。
♦︎こちらはキャリントンの作品を集めたスライド。印象派とシュールレアリズムの間のような画風で、鮮やかな色の使い方が印象的です。
残念ながら日本版DVD&ブルーレイは発売されていないみたいで。。。私は図書館で視聴覚資料のLDを鑑賞しました。配信でもいいので、気軽に見れるようになって欲しいです❗️
<2021.4.27追記> 内容を少しリライト&感想の続きを書きました。