砂漠の花

「砂漠には、強い風に吹かれて飛んできた草や花の種がいっぱい詰まってるそうです。だから何かのかげんで雨が降ると、その雨雲の下だけ、それは様々な植物が一斉に芽吹き花をつけるそうです。一見、味気ない日常生活の中にも、思いもよらぬ宝物が詰まっているものです」

脚本家の木皿泉の言葉だ。この人(正確には夫婦ユニットなのでこの人たち)は読む人の頭の中に、ぐわっとイメージを生む言葉の名手だなあと改めて思う。

自分の人生を見渡す限りの単調な砂漠のように感じた時。

いくら頑張っても砂の上でもがくだけ、逃れようと思っても出られない、だからどうしようもないと感じた時。

そんな時は、足元にはこれまでもがいて、悩んで、悔しい思いをしてきたことが種となって埋まっていて、何かのきっかけで雨が降った時に一斉に花となって咲いているイメージを想像してみたいと思った。

砂漠の真ん中、色とりどりの花が咲き乱れる場所に驚きつつも笑って立っている自分。

見覚えのある花もあれば、何の種なのか見たことのない花もある。思ってもみなかった実がなっている木もある。

そんなイメージを心の隅において、できるだけ風を起こせるように動いていこう。

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