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死刑に至る罪、無期懲役という罰。
よっしゃー!のアポ電強盗の差し戻し審で須江・小松園・酒井の3被告に無期懲役判決が出た数日後に、ルフィ広域強盗事件のうち6つの強盗事件に関与した永田陸人被告にも求刑通り無期懲役が言い渡された。
世間では死刑にしろ!との声が相次ぐが私は無期懲役で良かったと思う。
はっきり言って死刑制度は形骸化しつつある。秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚が執行されて2年3ヶ月が経ったがあれから死刑執行の一報はない。もっと言うと令和になってから6年も経つのにたった7人しか執行されていない。
例えば今も死刑制度がしっかり運用されており、鳩山邦夫、谷垣禎一、上川陽子元法相のように信念を持ち、キチンと死刑執行のサインを書ける人が法務大臣だったらアポ電3馬鹿や永田を死刑にしろと思うが、今は裁判所でも死刑判決を出すのに消極的な上に法務大臣が死刑執行を避けようとするくらいだから、無期懲役が実質的に1番重い刑罰になってしまった。
だから私は死刑には反対である。
どんな罪を犯せば死刑になるのか、あるいはならないのか、ギリギリで死刑を免れた犯罪者を何人か紹介していく。
◻️目白アパート経営母子強盗殺人事件(1992年)
被告人:手嶋祐子、塩月貴之
罪名:強盗殺人
死亡者:2名
求刑:両被告ともに死刑
判決:無期懲役(一審死刑)
→入居していたアパート経営者の女性とその娘を殺害し現金17万円とパソコンを奪った。一審では両被告共に死刑判決が言い渡されたが、控訴審では塩月被告が犯行当時20歳になったばかりで若年であったことが考慮され2人とも無期懲役に減刑された。
◻️つくば妻子殺害事件(1994年)
被告人:野本岩男
罪名:殺人、死体遺棄
死亡者:3名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→医師の夫が、不倫相手にのめり込み妻子が邪魔になったから3人まとめて殺したと言う鬼畜過ぎる事件。野本が医師でなかったら確実に死刑案件(同様の事件の中田充は死刑が確定した)。現在公判中の妻子殺害の渡辺健被告は被害者2名であり、下手したら無期求刑すらされず有期刑で済んでしまうかも・・・
◻️神戸テレクラ放火殺人事件(2000年)
被告人:中井嘉代子、坂本明浩、佐野和幸
罪名:殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反
死亡者:4名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→テレクラ経営者の中井被告は暴力団組員の坂本被告にライバル店の営業妨害するように現金1000万円で依頼した。坂本被告は佐野被告、亀野被告(求刑:無期懲役)と共にライバル店に火炎瓶を投げ付けたが、想定以上に高い威力を発揮し死亡者4人、重軽傷者3人を出す大惨事に。営業を出来なくすることが目的で、死傷者が出るとは予想してなかった、などとして無期懲役を選択した。運転手役は無期懲役求刑に対し懲役20年の判決が言い渡された。
◻️京都出会い系サイト殺人事件(2000年)
被告人:西島宏昭
罪名:殺人、強盗殺人、死体遺棄、窃盗
死亡者:2名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→出会い系サイトで知り合った若い女性2人を殺害後、被害者の現金を奪いバッグ等を質入れした強盗殺人事件。被害者の1人と金銭トラブルがあり返済を逃れるために殺害したが、計画的犯行ではなく衝動的犯行と見なされ無期懲役に。
◻️和歌山出会い系サイト殺人事件(2002年)
被告人:原田亜矢子、安芸健太郎
罪名:強盗殺人、強盗殺人未遂、死体損壊、死体遺棄、建造物侵入、窃盗
死亡者:1名
求刑:両被告ともに死刑
判決:無期懲役(一審死刑)
→言わずと知れた有名な事件。主犯の原田の交際相手の姉を安芸被告に殺害させ現金を奪い遺体を焼却した。奪った金が少なかったので原田は安芸に再度強盗に入るよう指示、自動車販売店を襲いオーナーを滅多刺しにして金品を強奪した。死亡者1名の事案の中では計画性が高く極めて悪質な事件。
◻️飯豊町一家3人殺傷事件(2006年)
被告人:伊藤嘉信
罪名:殺人、殺人未遂、住居侵入、銃刀法違反
死亡者:2名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→伊藤被告は幼少期から被害者家族の長男であるAから性的暴行を受けており、そのせいでPTSDを発症していた(裁判で認定されている)。ある日、Aにされた事の意味が分かるようになって以降Aに強い憎しみや恨みを持つようになり殺害を決意。AのみならずAの父親も死亡させ、Aの母親にも重症を負わせた。結果こそ重大だが、Aが伊藤被告に性的暴行を加えてなければ起きなかった事件であり、死刑回避は妥当とも言える。
◻️杉並親子強盗殺人事件(2007年)
被告人:志村裕史
罪名:強盗殺人、窃盗未遂
死亡者:2名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→日大生の道楽馬鹿息子が「お小遣いが足りなーい!」と言うどうしようもない理由で見ず知らずの住居に侵入し住民の親子を刺殺し現金や貴金属を奪った。奪ったキャッシュカードから現金を引き出そうとするも失敗。強盗殺人で2人殺害は本来なら死刑不可避だったが、被告が犯行当時21歳8ヶ月と若年であったこと&志村パパが被害者遺族に1億円近く支払ったので死刑回避。志村家が貧乏だったら主文後回しコース・・・
◻️南青山強盗殺人事件(2009年)
被告人:伊能和夫
罪名:強盗殺人、住居侵入
死亡者:1名
求刑:死刑
判決:無期懲役(一審:死刑)
→被告人には妻子を殺害した前科があり懲役20年判決を受けた。出所後たった半年で事件を起こし矯正施設のあり方が問われた。一審では死刑判決が出たものの、犯行時は刑の執行を終えており、最初の殺人と今回の殺人に類似性が無いことから控訴審で地裁判決を破棄、無期懲役判決が言い渡された。
◻️新発田市連続女性殺害事件(2013年)
被告人:喜納尚吾
罪名:殺人、強姦致死、強姦、強制わいせつ致傷、わいせつ目的略取、わいせつ目的略取未遂、逮捕監禁、単純逃走
死亡者:2名(未解決事件も含めると3名)
求刑:無期懲役(2015年)、死刑(2022年)
→2度の無期懲役判決を受けた被告と言うことで知名度の高い事件。二重処罰禁止のせいで死刑を免れたが、2015年の裁判で全ての殺人事件を起訴できていれば確実に死刑だった。2人死亡させたことになっているが、同時期に新発田市で女性が殺害された未解決事件もほぼ確実に喜納被告の仕業だと思う。強盗致傷の前科もあり、出所後すぐの犯行であることを見ても歴代の無期懲役囚の中でトップクラスに悪質。
◻️門真一家4人殺傷事件(2016年)
被告人:小林裕真
死亡者:1人
罪名:殺人、殺人未遂、住居侵入、銃刀法違反
求刑:死刑
判決:懲役30年
→被告と被害者家族に面識が無く通り魔に近い犯行。被告は統合失調症で入院歴があったが、犯行当時は体調不良を理由に服薬を中断し、症状が悪化し犯行に及んだ。裁判でも意味不明な言動を繰り返しており、心神耗弱が認められ死刑求刑に対し異例の有期刑に。被害者宅に侵入する際に焼き破りという方法で侵入していることから、犯行を遂行するという冷静さと高い計画性が伺え、責任能力も十分あったように思うが・・・
◻️山梨・静岡連続強盗事件(2016年)
被告人:武井北斗
罪名:強盗殺人、強盗致死、強盗致傷、建造物侵入、窃盗、窃盗未遂、詐欺
死亡者:2名
求刑:死刑
判決:無期懲役
→9件の事件の首謀者で、死亡者2名も出した近年稀に見るレベルの悪党。一貫して無罪を主張しており反省する素振りも見せなかったが、若年であることが考慮され無期懲役に。裁判長から「一生刑務所にいることになるが被害者のことを忘れず罪を償って」と言われ仮釈放無しの無期懲役が確定。共犯に懲役20年、懲役28年、懲役30年、無期懲役と全員に重い判決が言い渡された。
◻️稲美町殺人放火事件(2021年)
被告人:松尾留与
罪名:殺人、現住建造物等放火
死亡者:2名
求刑:死刑
判決:懲役30年
→同居する妹夫婦の子供2人を殺害したのち、自宅に火を付けて証拠隠滅を図ったという殺人事件の中でも小さい子供2人が犠牲になった酷過ぎる事件だが、被告に軽度知的障害があったことや妹夫婦が被告の家を乗っ取り嫌がらせを続けていたことが考慮され、死刑求刑に対し有期刑が言い渡された。裁判長も被告に対して同情的で暖かい言葉をかけていたのが印象的だった。
まだ死刑求刑に対し無期懲役になった例は数え切れないほどあるが、強盗殺人で被害者2人だと高確率に死刑判決が出る。最近だと安心院町親子強盗殺人事件の佐藤翔一被告に死刑判決が出た。
初めて実名が公表された未成年死刑囚の遠藤裕喜は殺人で2人と殺人未遂で1人の被害者を出している。
同じく未成年死刑囚の石巻3人殺傷事件事件のC.Yも殺人2名、殺人未遂1名の計3人の被害者を出した。私欲目的の殺人でない場合、被害者が3人以上だと高確率で死刑になるが、親族間はこの限りでない。
また相当数、死亡者が出ても死刑を免れる事もある。上記の神戸テレクラ放火殺人やドン・キホーテ放火事件(死者4人、重軽傷者8人)など、明確な殺意が無く軽い動機でやってしまったら、予想以上に重大な事態を招いてしまったケースが最たる例だ。
死亡者1名でも犯行態様が残虐極まりないと死刑になることもある(三島女子短大生焼殺事件の服部純也、闇サイト殺人の神田司、奈良小1女児殺害事件の小林薫、岡山同僚女性バラバラ殺人の住田紘一など)
死刑求刑に対し無期懲役判決だった松戸9歳児殺害事件の澁谷恭正、新潟小2女児殺害事件の小林遼なんかも10数年前だったら死刑判決が出ていたと思う。この2人の残酷さ悪質さは死刑執行された小林薫と遜色無い。死刑判決を出すのに消極的な今だからこそ死刑にならずに済んだ。
本来であれば死刑を選択するが、心神耗弱が認められ死刑回避する場合も多い(有名な事件だと深川通り魔殺人、新宿駅バス放火殺人、熊谷6人殺傷事件、淡路島5人殺害事件など)
ちなみに無期懲役囚の中で最も殺害人数がが多いのは「あさま山荘事件」の吉野雅邦で17人、次いで「地下鉄サリン事件」の林郁夫が14人(重軽傷者6300人)である。この2人は極めて特殊なので何とも言えないが・・・