鮮やかな朱と青の対比：1926年小原古邨×渡辺版画の金魚図を味わう【モーカルナビPlus・輸入編】
1. はじめに
日本の近代木版画界において、小原古邨（おはら こそん／Ohara Koson）は花鳥画の美しさを新時代に引き継ぎ、多くのコレクターを魅了してきました。中でも、金魚を描いた作品は、その透明感ある水の表現や躍動する魚のフォルムが人気の高いモチーフです。
今回の作品は、1926年（大正後期〜昭和初期）頃に渡辺版画店から出版された木版画とされるもの。コバルトブルーの水草と鮮やかな朱色の金魚との対比が美しく、近年海外オークションでも高値で取引されました。本稿では、小原古邨という版画家の背景や、この金魚図版に注目すべきポイント、さらに輸入・販売の観点から大切なチェック項目などを解説します。海外での需要が高い“コソン”版画がもつ世界的評価と、その美的価値に迫ってみましょう。
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2. 小原古邨（Ohara Koson）とは？
2-1. 生没年と作風
小原古邨（1877–1945）は明治から昭和にかけて活躍した花鳥画家・版画家。師事したのは日本画家の渡辺省亭などとも言われ、「古邨」「祥邨」「霍村」など複数の雅号を使い分けました。西洋の自然主義や写実主義の影響を受けつつも、和の情趣あふれる花鳥画を多数制作。
2-2. 渡辺版画店との関係
大正期から昭和初期にかけては渡辺庄三郎が率いる渡辺版画店が、「新版画」と呼ばれるジャンルで多くの作品を出版。川瀬巴水や伊東深水らと並び、小原古邨も渡辺版とのコラボで花鳥画を中心に木版を発表し、海外輸出でも高い人気を博しました。
2-3. 花鳥画の精緻さと静謐さ
古邨の画風は柔らかな色彩と、鳥や魚など被写体への写実的な観察眼が特徴。余白の活かし方も巧みで、静かな背景に動物の姿が浮かび上がるような、モダンかつ優美な構図で知られます。
3. 1926年刊行「金魚図」の概要
3-1. デザインと配色
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