ダークスレイヤーの帰還・レビュー

多重世界という設定自体がもう無職転生で使われてるんだよな。別にパクりというわけじゃないけど、複数の世界の内の一つが危機的な状況にあって…なんてのは目新しくない。

神々の不都合を封じた『永劫回帰獄』の黒い炎を纏い、封じられた戦士たちの力と武器を揮う闇の存在、ダークスレイヤー

なんてのも、なんというか…オリジナリティが無い。
適当にかっこよさげな漢字とかっこよさげな英語を混ぜ込んだ闇鍋世界だ。更に、殆どの設定がどこかで見た事がある。

まあここまではなろうと同じなんだけど、なろうは人物の魅力に焦点をあてている作品が多い。だから読めなくもない。
常識的に考えて、「人間」と「世界」なら、どちらに好感度を向けやすいかという話だ。世界っていうのはちょっと漠然としすぎている。

だったらダークスレイヤーの帰還の登場人物を好きになれないか、という話だけどこれがちょっと難しい。
まず主人公が余りに無機質的だ。

「そういう役目をもった」機械かなにかにしか見えない。
作者は主人公を俗世から超越した存在として書きたかったんだろうけど、そのせいで好感度を抱きにくい。

こうなると世界設定とキャラ設定の双方でなんだかぱっとしない感じになってしまう。更に致命的なのが、重厚な物語だと期待して読もうとすると、いきなりポエムからはじまって、そこから更にイラスト紹介が始まるという点だ。こんなもののどこに重厚さを感じれば良いのか。まるで中華の中抜き工事みたいだ。

それと本格ファンタジーの性質として、キャラクターではなく世界を中心に書かれている、というものがある。
物語の奥行が出る書き方だ。

だがこれは世界の書き方、表現の仕方、情報開示のやり方を失敗してしまうと何もかもが破綻してしまうという弱点がある。出来損ないの世界に対して読者が抱く感情は一つ。虚無だ。

キャラクターの場合はまた違って、出来損ないのキャラクターに対しては負の情念がわきおこってくる。いわゆるアンチという奴が出てくる。

それはそれでアレなのだが、アンチは作品の燃料足りえる存在だともいえる。怒り、嘲り、そういった感情も糧にしてコンテンツというものは伸びる。

ダークスレイヤーの帰還にはそれは出来ない。
なぜならば虚無はいかなる燃料にもならないからだ。

ダークスレイヤーの帰還はキャラクターの書き込みが薄く、世界については書き込まれているものの色々失敗してしまい色あせて、結果として作品全体がぱっとしないものになってしまっている。

作者は様々な言動で炎上しているが、観測するかぎりではダークスレイヤーの帰還に対してのアンチは存在していない。アンチは全て作者本人の人格に対して存在している。

物書きとしては屈辱の極みと言っていい。
ダークスレイヤーの帰還は、本格ファンタジーにもなろうファンタジーにもなれなかった可哀そうな忌み子。

これが結論だ。

2023/12/22
名輿文庫からクレームがきた。丁重な文だったが、ここで反論させていただく。

問い合わせについて確認をしましたが、「多重世界」というのは複数の世界を指す表現です。

『多層多次元の世界が現れては消えるウロンダリアの地』という設定なのですから多重世界という表現で差支えはないかと思われます。

六面世界にせよ、これも多重世界です。

なぜならば六面世界というのは、地球のように球体状に繋がっている世界ではなく、正方形の世界が6面隣り合わせに存在しており、繋がっているわけではなく結界によって明確な隔たりがある世界だからです。

林檎と蜜柑を「果物」とまとめて言うようなものであり、当方はこの表現について問題があるとは思えません。

さらにこの様に作中に複数の世界が含まれる世界観はオリジナルなものではなく、多くの作品で採用されている設定です

「複数の世界の内の一つが危機的な状況にあって…なんてのは目新しくない」

という当方の主張には問題があるとは思えません。

また、『ダークスレイヤーの帰還』と堅洲斗支夜を一方的に批判したいだけのように読めましたとありますが、当方は『ダークスレイヤーの帰還』を読んだ結果、このような感想を抱いただけであり、これもまた問題はありません。

作者が作者の好きな様に物語を紡ぐ様に、読者は読者の好きな様に読み、そして感想を述べる事ができます。

そして堅洲斗支夜氏に対しての批判については

「アンチは全て作者本人の人格に対して存在している」

との言を見ての事だと思いますが、これについても一線を逸脱しているとは思いません。

なぜならば堅洲斗支夜氏の人格をどうこうあげつらっているわけではないためです。これが例えば堅洲斗支夜氏の人格否定などをすれば問題はありますが、事実はそうではありません。

更に引用については名輿文庫様の規約よりも著作権法32条1項が優越します。

サイト上でどれだけ「無断引用禁止」と書かれていようが、上記引用要件を満たす限りは無断で使用可能です。

よって当方は本記事の削除、あるいは変更の要を認めません。

以上、返信させていただきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?