とある島の果ての浜
今から40年以上前の話。
かつて「セックスアイランド」と呼ばれた島があった。
別名「ナンパ島」
若い男女が観光で訪れ、誘い誘われエッチをする。
性の楽園と化した島内では、至るところで喘ぎ声が聞こえる。
まるで日本のフリーセックスの聖地さながら、何人もの男女が入り乱れての乱交状態は日常茶飯事。
地元民はイイ迷惑だ。
でも、そんな夏の思い出に憧れる男は多いだろう。
俺もその一人だから。
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20代前半
俺は東京での生活に疲れていた。
給料は良いが、その分使う金銭感覚。
仲良さそうに見えて、稀薄な人間関係。
寂しい一人の夜。
「決めた。俺、沖縄行く」
職場に退職届を受理してもらい、沖縄に飛んだ。
沖縄本島の羽賀研二プロデュース「南国食堂」という料理屋の面接に受かり、オープニングスタッフとして暫く働く。
オシャレでイイ感じで可愛い娘が多いが、休みが無く海でナンパする時間がない。
「なんか違う…」
俺は躊躇なく南国食堂を辞め、ここからさらに離島に飛んだ。
求めているイメージは「セックスアイランド」なんだ!
可愛い娘がいっぱいいても、仕事ばかりじゃ面白くない。
即断即決し、降り立った島は自然がそのまま残っている素晴らしい島だった。
無理に観光地化しておらず、美しい海もそのままに、人ものんびり穏やかに暮らす幸せな環境は、俺の理想に限りなく近かった。
「ここで好きに生きよう」
そう思い立った俺は、YAMAHAで受講出来る小型船舶免許を取り、ダイビングショップでオープンウォーターのライセンスを取った。
(なんやかんや一ヶ月位かかりました)
免許代や宿泊費で金も底を尽きてきた頃、島のメインビーチで怪しいオッサンに声をかけられた。
「観光で来たのかね?」
俺は暇つぶしに、この島に来た経緯をオッサンに長々と喋った。
「なら、ウチで働きゃいいだろ」
えっ…
本当に?
その人は地元で、サトウキビ農園や工務店を営んでおり。
夏場は、その財力を活かしビーチで海のアトラクションや無人島の船渡しなどをして荒稼ぎしている地元の有志だった。
「是非、お願いしますm(_ _)m」
俺はこの日から海人となった。
〜翌日〜
海仕事の朝は早い。
住まいは地主さんの二階を間借りすることになったのだが、オーナー家族と同居同然なので、午前5時には叩き起こされ海へ波のチェックをしてこいと放り出される。
シケってなければ、船(ガラスボート)の掃除から燃料の確認、備品の確認、各車両の点検、マリンジェットの燃料確認、予約客のリスト確認。
朝飯食って、マリンジェットを四駆に繋いでビーチに運び海へ進水させる。
ビーチのゴミ拾いをして、ガラスボートの船長を船乗り場に誘導し、団体客を送迎して、個人客をマリンジェットで運ぶ。
このマリンジェットは海にいる間、ずっと俺の最高の相棒だった。
こんな事してたら、
3日でガングロになってた。
髪の毛も勢い余って金髪にしてたので、イキった黒光り金髪クソ野郎に成長していた。
望むところだ。
俺はこうなりたくてココに来たんだから。
となれば、目的は一つだけ。
ビキニ女子への声掛けである。
これは、思いっきり立場を有効活用する。
「こんにちは!ジェットとか乗ってみませんか?」
「少し海を渡ったところに、砂浜だけのプライベートビーチがあるんだけど行ってみませんか?」
「海ガメとかクマノミが見れるポイントがあるんだけど興味ありますか?」
もちろん、仕事なので全て有料だが俺の手腕で上手いこと言って(オプション無料にするとか割引くとか、時間無制限とか)若い可愛い女の子を中心にハントしていった。
そして、送りの時は夜の予定を聞き出し、美味しい飯屋があるとか、天の川が見える広場があるとか、夜光虫が見えるビーチがあるって言って誘い出す。
で、楽しませてから…いたす。
毎日毎日、色々な娘に美ら海と素晴らしい島を堪能してもらって…いたす。
でもさ、女の子ってだいたい友達と来てるんだよね。
だからね、ダイビングショップでインストラクターしてるケイって奴と友達になってたんですよ。
(俺にライセンス取得させてくれた奴)
俺が日中に女の子二人と約束取り付けたら、夜からケイを合流させて、盛り上げて楽しませて、なんとなく二手に分かれて作戦決行してた。
ケイもヤリ手だから、阿吽の呼吸でどっちの娘に行くかは分かるし、譲る時もあるし、車出してくれるし、陸では最高の相棒だった。
なんでケイと相性良いかっていうと、ケイは上で書いた「アノ島」で生まれ育ったハンターのサラブレッドだったんですよ。
優しい顔したドレッドパーマのイケメン。
で、この島にはダイバーとしての修業に来てる最中で、ゆくゆくは地元の島に戻ってダイビングショップを開く予定だったのです。
だから、ケイが女の子連れてきてくれる時も割とあったんだよね。
かなりレベルの高い都会派っぽい女の子ばかりだったな。
崩しがいがあったよ。
大概は、真っ暗な展望台から綺麗な星空を見せたり、誰もいない夜の砂浜で可愛い貝殻拾ってあげたりすれば、手をつなぐ事くらい容易いんだけど、固い娘はそれくらいじゃ心許さないからね。
そんな時は、「美ら海マジック」ですよ。
会社のランクルを黙ってお借りして、地元民もあまり行かない辺境のビーチに乗入れする。
ビーチサンダルで波打ち際を脚で濡らせば、キラキラと光る足元の水面。(夜光虫)
満点の星空に波音しかしない二人だけの幻想的な空間。
ここで一言。
「すごく綺麗だよ…」
後はもう何も言わない。
少しずつ身体が近くなってくる。
あとは、もうね…
楽しい最高の夏だったな〜
YAMAHAの小型船舶免許とって、
YAMAHAのマリンジェットで可愛い娘乗せて
うん。。
最後に妻となる娘に会うまでは…
いつかこの話は長編にしようかな。
それまでは、楽しい夏の想い出として…
俺と海のお話しでした。
とりあえず、おしまい。。