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「今月のおすすめミステリ」3選 FIKAのブックトーク#5

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「今月のおすすめミステリ」です。
いろんなジャンルを読みますが、やっぱりミステリが好きです。最近読んで面白かったミステリを3冊紹介します。




「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」 東野圭吾

自宅をリノベしたい女、恋人を査定したい女、亡くなった恋人の秘密を探る女…

バー「トラップハンド」に訪れる様々な女性客。その悩みや謎をバーのマスターでマジシャンの神尾武史が「魔術」のように鮮やかに解決する連作ミステリ短編集です。

飄々かつ、ちゃっかりした武史のキャラクターも憎めないし、姪の真世がそれに鋭く突っ込むやり取りも楽しい。

何よりミステリの謎解きが素晴らしい。謎に対して武史が鋭い推理を見せ、マジシャンらしい手八丁口八丁で解決に導く。それぞれの話が意外な展開で面白いだけでなく、これにて解決と思わせておいて、新たな話で続きを見せたりするのも嬉しいです。

「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」の続編ですが別の話なので本作から読んでも大丈夫です。
キャラ、ストーリー、謎解きのどれをとっても上質で読者をとことん楽しませてくれる、ベテラン東野圭吾の遊び心が溢れるミステリでした。



「半暮刻」 月村了衛

ホストクラブ詐欺やパワハラ自殺など、実際に起こった様々な事件を織り込みながら現代社会の闇を徹底的に描いた社会派ミステリです。

主人公は、翔太と海斗という2人の青年。
女性を騙して金を巻き上げ風俗に落とす「カタラ」という詐欺グループの中で実績を上げのし上がっていきます。
自分たちのしていることに罪悪感は全くなく、世の中を渡っていくための有益な「学び」とさえ思っています。

やがて「カタラ」は訴えられ2人の明暗が分かれます。
裕福な家庭に生まれ育ち一流大学に通っている海斗は運良く逃げのびましたが、身寄りも財産も学歴もない翔太は逮捕され実刑を受けます。

刑期を終えて出所した翔太は、その後自分が騙した女性と出会い本当の「学び」を知って己の罪を悔い改めるようになります。

物語の前半は現代版「罪と罰」といった感じです。

物語の後半は海斗の人生が語られます。逮捕されることなく大手広告代理店に就職した海斗は、その後どんな人生を歩んだのでしょうか?

ここからがこの物語の真骨頂なので、ぜひご自身で読んでみて下さい。

作者が描きたかったのは、罪を悔い改める人の心と同時に、この国を動かす仕組み自体に染みついている「悪」そのものではないかということをまざまざと見せつけられた結末でした。

翔太は、海斗は、そしてこの国は、一体どこへ向かっていくのでしょう?



「午後のチャイムが鳴るまでは」
           阿津川辰海

この物語は、九月九日の昼休みを巡る物語である。あるいは、十七年という時間の因果の物語であり―そして、六十五分間の時間パズルである。

「第5話 過去からの挑戦」

本文の一部を抜粋しました。
とある高校の、とある1日の、65分間の昼休みに起こった様々な出来事を描いた学園青春ミステリです。

昼休みにこっそり学校を抜け出してラーメン屋に行く男子2人組。
締め切り間際に逃げ出したイラスト担当者を必死で探す文芸部員。
周囲にバレないように消しゴム賭博をやるグループ。
偶然耳にした「星占いなら仕方がない。木曜日ならなおさらだ」という謎めいた言葉の意味を推理する女子3人組。

バカバカしいことにひたむきになる高校生たちの青春の一コマを描く群像劇ですが、それだけではありません。
たった65分の中で、いろんな人物やエピソードが意外な繋がりを見せ、隠れていた真実が明らかになり、さらには過去の謎まで解き明かされていく超絶技巧のミステリでもあるのです!

青春と謎解きがコラボした奇跡の「昼休みミステリ」をどうぞお楽しみ下さい!



以上、3冊のミステリを紹介しました。
本格も社会派も学園物もミステリは全部好きなので、面白い作品があったらまた紹介したいと思います。

読んで下さってありがとうございました。









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