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「鳥の本」3選    FIKAのブックトーク#2   

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「鳥の本」
本当は愛鳥週間のある5月にやりたかったのですが、間に合わなかったので…
新しいのから懐かしいのまで、鳥が出てくる本を3冊紹介します。


「ダチョウはアホだが役に立つ」 
           塚本康浩

ひゃあ~、びっくりです。
ダチョウ、めちゃアホやん…
でもダチョウ、めちゃすごいやん…

この本は「ダチョウ博士」の異名を持つ著者がダチョウの生態や抗体開発の研究などについてユーモラスに語った科学エッセイです。

まず、想像以上のダチョウのアホさにびっくりしました。ダチョウは自分の家族が入れ替わってもわからない、それどころか自分が怪我してもわからない。動物行動学的にもツッコミどころ満載な面白い研究対象なんです。

でもダチョウの卵から作る抗体の免疫パワーはすごい!コロナをはじめとする感染症の予防やがん治療、メタンガスの削減に役立つなど、世界中から注目されているんです!

そしてそんなダチョウを23年にわたって研究し、抗体を開発した著者もすごい。
小さい頃から鳥が好きで、高校を卒業して一旦は就職したけれど、やっぱり学びたくて大学の獣医学科に入って鳥の研究を始めたらダチョウのアホさとすごさにハマったという半生がユーモラスに綴られています。

ダチョウは世界を救う!
なお著者が開発したダチョウ抗体マスクはAmazonでも販売されています。



「水車小屋のネネ」 津村記久子

2024年の本屋大賞第2位に選ばれた小説です。タイトルの「ネネ」はなんとしゃべる鳥の名前です。

18歳の理佐と8歳の律。姉妹はある出来事をきっかけに家を出て遠い町で二人で暮らすことにしました。理佐が働く蕎麦屋では、店の仕事以外に水車小屋に住むしゃべる鳥ネネの世話を任されます。以来40年に渡って姉妹はネネと深く関わっていきます。

40年の間に派手な事件やドラマチックな出来事が起こるわけではありません。
見知らぬ土地で生きていくため必死で頑張る姉妹を周囲の人たちは温かく見守り手をさしのべます。誰かと出会って新しい人生が始まったり、別れの中で託されたものを次の世代に繋いでいったりします。

そういう日常が淡々と、けれど丁寧に描かれていて「ああ、生きるということはこういうことなんだなあ」としみじみ思いました。

「自分というものの大部分は他人から与えられたり助けられたりしたことでできている」と律が感じる場面がすごく好きです。
人の優しさと温かさが心に沁みる素晴らしい大河小説でした。



「クラバート」              
     オトフリート・プロイスラー

子どもの頃大好きだったファンタジーです。作者は「大泥棒ホッツェンプロッツ」を書いたプロイスラーです。

主人公のクラバートは14歳の孤児の少年。何かに導かれるように、人々から恐れられる黒沼のほとりの水車小屋にやって来ます。

そこは親方と呼ばれる魔法使いが支配する魔法の学校でした。12人の男たちは水車小屋での厳しい労働と引き換えに、週に一度カラスに変身して親方から魔法の呪文を教わります。

人を騙し、操り、支配する魔法。それは水車小屋での労働の辛さを上回る魅力的な報酬でした。クラバートも最初は無我夢中で魔法の力を得ようとします。

けれど成長するにつれ、クラバートは気づくのです。強大な力を得る代わりに、親方の支配から決して逃れられないことに。
やがて愛する女性ができたクラバートは自由と愛のために戦うことを決意します。
果たして親方の支配から逃れることができるのでしょうか?

ドイツの一地方に伝わる「クラバート伝説」をもとにプロイスラーが作り上げた壮大なファンタジーです。数十年ぶりに改めて読んでもたいへん面白い物語でした。



以上、「鳥の本」を3冊の本を紹介しました。今回は小説多めでしたが、科学読み物にも面白い鳥の本がいっぱいあるので、いつかそれらも紹介したいです。

読んで下さってありがとうございました。


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