「お酒の本」3選 FIKAのブックトーク#19
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「お酒」。
いろんなお酒とおつまみを楽しめる小説や漫画を3冊紹介します。
「ランチ酒」 原田ひ香
女一人、いろんな街で楽しむランチとお酒。こんな小説を待っていた!
でも単なるグルメ小説じゃありません。
主人公の祥子はバツイチの一人暮らし。人でもペットでも夜から朝まで寝ずの番で見守る「見守り屋」が仕事です。
仕事が終わると、晩酌ならぬ「ランチ酒」の時間。今の自分は何を食べたいのか、それに合うお酒は何か。場所やお店を慎重に吟味して「ランチ酒」の時間をひとりゆっくり楽しみます。
この、町と料理とお酒のマッチングが絶妙なんです。
武蔵小山・・・肉丼と芋焼酎
阿倍野・・・刺身定食と関西の地酒
御茶ノ水・・・牛タン定食と生ビール
新宿・・・ソーセージ&クラウトと赤ワイン
秋葉原・・・チキン南蛮丼とハイボール などなど…
別れた夫のこと、なかなか会えない娘のこと、これからの自分の人生について…祥子の心中はいろいろ複雑です。
それでも「見守り屋」の仕事を通していろんな人との出会いがあったり、仕事後の美味しいお酒や料理にひと時慰められて日々を生きていく姿が描かれます。
しんどいことがあっても、美味しいご飯とお酒があれば頑張れる。そんな気持ちにしてくれる物語でした。
アンソロジー「ほろよい読書おかわり」
5人の人気女性作家が「お酒」をテーマに様々な人生模様を描くアンソロジーです。ラインナップは以下の通り。
青山美智子は、ストレートに「お酒」を描いた心温まる一編に。
朱野帰子のは、オイスターバーでの初対面の男女のやり取りが予想外の方向に進んでドキドキします。
一穂ミチのはほろ苦い。若気の至りを大人になってから突きつけられるような痛さがありました。
奥田亜希子は、思春期真っ只中の女子中学生の危なっかしい純粋さを描きます。
西條奈加は、居酒屋で一人飲みする女性の話。美味しそうな料理とお酒を楽しんでいたら最後に意外なオチが…
バラエティに富んだ楽しいお酒アンソロジー、「ほろよい」どころかガッツリ酔わせていただきました。
ちなみにこのアンソロジーはシリーズ第2弾です。第1弾の「ほろよい読書」も面白いので、よかったらそちらもどうぞ。
「今夜はアレで飲みたい!」 新久千映
「ワカコ酒」が有名ですが、お酒にまつわるコミックエッセイも面白い。
自他ともに認める呑兵衛の著者がいろんな酒のつまみを自作する、そのレベルがハンパない!
ラップで作る皮なしソーセージなんて序の口。モッツアレラチーズを牛乳から手作りしたり、生きくらげや実山椒をゆでたり、タコやホヤをさばいたり、ヤギ肉のカレーを作ったり、極めつけは、ワニの手羽をオーブンで焼いて食べるなど、珍しい食材や料理法に果敢にチャレンジします。
苦労して作り上げた料理に、著者はいろんなお酒をペアリングして乾杯!
お酒と料理への飽くなき情熱が楽しめる1冊です。
もちろん、「ワカコ酒」も面白いですよ!
以上、3冊の本を紹介しました。
今夜は何を飲もうかな…?
読んで下さってありがとうございました。