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韓国と私④ どこか古くて懐かしい

0.noteはじめました こんばんは🌹4日目です 韓国と私④

 BTSのJINくんが2024パリ五輪開催直前のルーヴル美術館の前を走る、とのことで、世界のBTSファンのARMYの皆さまはじめジンペンさんが楽しみにしておられます。ルーヴル美術館についてはまた明日、ジンくんが走る前夜に書きたいと思いますが、2024年の現在このトーチリレーに参加するジンくんは、BTSが近年に世界的な成功をおさめたことが大きい、と感じます。韓国とオリンピックといえば、1988年のソウルオリンピックの成功がすぐに思い浮かびますが、韓国という国は、このソウルオリンピックの成功から1997年のアジア通貨危機まで高い経済成長を続け、特に、1960年代から1990年まで経済発展は「漢江の奇跡」と呼ばれていました。当時、韓国についてよく知らなかった私も、この程度の知識は有していて、大学院で知り合った留学生の方たちは、私と同じ1960年代後半から1970年代生まれで、1980年代、1990年代に大学に在籍していた方で、学生時代のお話を伺うととても興味深いエピソードばかりでした。

1.韓国と私④ 初めての韓国ドラマ 

 『シバジ』のような商業主義ではない映画をはじめ、『JSA』などの商業的に大ヒットした映画作品に触れはじめていた私は、留学生の方から、「韓国ではドラマが人気。視聴率40%などもある」と聞き、とても興味を持ちました。「どういうドラマが好きなの?」と質問すると、彼女の一押しは「べ・ヨンジュン」でした。のちに『冬のソナタ』で大人気となる彼の名前を聴いたのは、これが最初でした。第1次韓流ブームの立役者ヨン様ことペ・ヨンジュン氏は「ぺ」というカタカナ表記が正式ですが、彼女の発音は「Bae」で、「ベ・ヨンジュン」と言っていました。彼女は、彼がデビューした1995年からの熱心なファンで、彼の出演したドラマ作品はすべて観ている、と教えてくれました。「映画には出ていないの?」と質問すると、「彼は映画には出たことはないの。だけど、苦労して俳優になった人だから応援している」とのことでした。「その人のドラマ観てみたい」と呟くと、彼女は親切にも昔録画した映像を見せてくれました。それは、韓国KBSのドラマ『愛の挨拶』(1994年-1995年)という作品で、これこそ、私が初めて目にした韓国ドラマでした。

2.韓国と私④ ドラマの作りとメガネに驚く

 『愛の挨拶』と聞くと、幼い頃からクラシックバレエを習っていた私は、咄嗟に、エルガーの同名曲「愛の挨拶」を思い浮かべましたが、紹介してくださった留学生の方は、「その曲はあまり関係ないと思う」と笑っていました。彼女曰く、韓国語のタイトルは「サランエ インサ」といい、「愛」が「サラン」で「愛している」が「サランヘ」、「愛しています」が「サランヘヨ」などと教えて貰いましたが、私としては、幼い頃流行っていた日本のドラマ「赤いシリーズ」などの「赤い」という枕詞がタイトルについているイメージと、ハリウッド映画の英語の原題『An Officer and a Gentleman(士官と紳士)』(1984)を変えて日本独自の『愛と青春の旅立ち』と銘打ってロードショーしていたことを思い出したものでした。
 単に、「愛」という単語をタイトルにつけるのが流行っていたからかな? とも思ったりもして。当時は知らなかったのですが、彼女に見せてもらった、私の初視聴韓国ドラマ『愛の挨拶』は、後に『冬のソナタ』を監督したユン・ソクホ監督とチョン・ギサンPD演出の作品でした。ユン・ソクホ監督はクラシック音楽やフランス映画を好むインテリ監督で、『冬のソナタ』を撮った四季シリーズ『秋の童話』『夏の香り』『冬のソナタ』『春のワルツ』は、フランスのエリック・ロメール監督も髣髴とさせます。私を含め、アメリカかぶれならぬフランスかぶれの匂いすら感じつつ、この四季シリーズを視聴したものですが、これは韓国ドラマを日本に浸透させる先鞭となりました。話を戻して、『愛の挨拶』を見ると、地方から出てきた大学生をめぐる学園ドラマで、率直に言って、これが「1994年の作品?」と思いました。全体的に古い香りがして、おそらく、ユン・ソクホ監督が大学生だった時代、1970年代のキャンパスが想定され作られているような気がしました。何より、ユン監督の眼鏡と同様のメガネをかけた俳優さんが印象に残りました。まだ若いのに、老成した雰囲気で演出されているのね。それが、ペ・ヨンジュンさんに対する私の第一印象でした。

3.私と韓国④ 謎がさらに深まる、の巻

 『愛の挨拶』の主人公は、ペ・ヨンジュン氏演じる、大学の国文科の大学生です。地方出身の彼は、同じ境遇の大学生と一緒に下宿しているのですが、このメガネといい、衣装といい、どうしても、すべて古い感じがして、言い換えれば懐かしい感じなのですが、ホ・ジノ監督の映画『八月のクリスマス』(1998年)を見たことも思い出し、あえて、わざと自分と同じ世代にむけて、このようなノスタルジックな昔の情景を撮っているのだろう、と個人的な感想を持ちました。ただ、紹介してくださった留学生の方は、この主演の方のファンだったので、「メガネをかけているのね」と言ったら、彼女は「韓国ではメガネをかけている人は知的な印象で人気があるのよ」と答えました。さらに、彼女は「それに彼は本当に目が悪いの。この前に出た作品はメガネをかけていないけど、私はメガネの彼が自然で良いと思う」と同情を含んだ表情で続けたあと「だけど、とにかく本当に素敵なのよ。大好きなの」と嬉しそうに弾んだ声で告げました。そして、『愛の挨拶』と同じ年の映画『初恋白書』(1995年)にも端役で出演しているけれど、彼の公式なフィルモグラフィーには記載されていないそうで、その映画もその登場シーンだけ早送りで見せてもらいましたが、その役ではメガネをかけていませんでした。正直に言って、メガネでも、メガネをかけていなくても、特に変わらないような気がしましたが、隣の国のドラマはこういう感じなのね、と、韓国ドラマの超初心者として、素朴な疑問と共に、いろいろな謎が深まった当時の私でした。(韓国と私⑤に続く)

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