noteはじめました 韓国と私③ 弱者からの視点
0.noteはじめました こんばんは🌹3日目です 韓国と私③
こんばんは。この、noteはじめまして、から3日目の夜です。昨晩、私が大学院修士課程で初めて出会った映画『シバジ』(1987)について、ご紹介させていただきましたが、この作品について、まだまだ、言い尽くせないところも多々あります。そもそも、先日、東京都知事選に選ばれた3期目の都知事の方を応援していた方が、少子化について「やっぱり男がしっかりしないといかん。あなたの子どもならぜひ産みたい。作りたい。(女性が)そういう気持ちになるような旦那が増えなきゃ駄目だ。みんな胸に手を当てて反省してください。子どもの少ない人は。」と言及されたとの事、新聞報道で知りました。
大変憂慮すべき発言と思いつつ、たまたまタイムリーなことに、昨日あげさせていただいた映画『シバジ』は、李氏朝鮮時代とはいえ、当時を生きる人の悩み、後継者・男子後継・跡継の男児が産まれない、という深刻な悩み、言い換えれば不妊という点で、現代にも続く今日的なテーマを通底している作品といえるのではないかと思います。
医療的な不妊治療など存在しない当時「種受」という、正妻ではない女性、別の女性を代理母に立て、両班の家長の遺伝子を継ぐ男子誕生を保持していたとは現代の視点からすれば何とも驚愕の事実ですが、何が何でも男子血統を保持したい当時の価値観では、両班の家系を継ぐ父親の遺伝子さえ確実ならば、母親となる女性は、正妻が不妊であれば他の女性で代替させる、という発想そのものが性差別的と理解しつつも、父親の遺伝子のみが重要視され、産む女性の身体は軽視された事実がありありと伝わってきます。
1.韓国と私③ 弱者からの視線が根幹にある韓国映画
実際に、この映画作品『シバジ』をご覧になると、お気づきになると思うのですが、シバジに産ませた赤子を、子に恵まれなかった正妻がひとかけらの感謝の気持ちすら見せず、傲慢な態度で自分の子のように奪っていく描写は、女性同士の対立が描かれている、というより、おそらく両班階級の高貴な生まれの正妻の女性が良心に欠け、まるで、そもそも人間として共感能力の不足があったように思わせる表現にも受け取れます。だからこそ、親同士が決めた見合いで結婚した正妻より、当時は卑しい身分とされるシバジ(種受)の女性の内面に惹かれていく夫の心が物語の軸として強調されています。2001年当時、韓国に初めて出会ったような私が瞠目させられたのは、この点に尽きると思います。なにより、この韓国産コンテンツの映画には、知らず知らずかもしれないけれど、どこか確固とした、物語の弱者の視点から作品を辿るべき道程が敷かれている根幹と呼ぶべきものを感じ取ったからです。
2.韓国と私③ 『殺人の追憶』における弱者の視点
『シバジ』だけではなく、ポン・ジュノ監督の傑作『殺人の追憶』(2003)もまた、弱者の視点から鑑賞を余儀なくされる作品です。軍事政権下の韓国。非人間的で非情な労働を科す工場が進出している農村地域で、雨の夜に性加害と共に殺される若い女性達、怠慢な警察の実態と、軽度の知的障がいがあるために、警察に都合よく犯人に仕立てあげられてしまう冤罪の青年。2001年当時、韓国産のコンテンツに出会ったばかりの私は、韓国の映画精神に通底しているのは、このヒリヒリするような、徹底した弱者の視点だと直感しました。映画、というと、どうしても、英雄だったり支配者や成功者、それではなくても、その下のレベルにいる二番手の、そこそこ小さな成功や転覆、何とか手に入れたハッピーエンドというのがお決まりのエンディング。映画館に足を運ぶ人はそういう成功者の物語を求めているのであって、ハリウッド作品でも邦画でも、大抵ヒット作というのは、ヒーロー(英雄)やヒロイン、小市民的な存在の男女等の主人公が挫折し苦労しつつも最後にサクセスやロマンスを手に入れる成功者の王道の物語が多い。皆、束の間の夢を見て満足して映画館を後にすることが一種の娯楽には間違いないのです。
3.韓国と私③ 弱者の視線が根幹にある韓国映画
『JSA』(2000)の監督パク・チャヌクが、『殺人の追憶』(2003)と同年に撮った『オールドボーイ』(2003)もまた、徹底的な弱者の視点で描かれた作品です。日本の漫画を原作にしていますが、舞台を韓国に移し、ある日、平凡な暮らしをしていた男が突然誘拐され15年間監禁される物語。私が韓国に出会った頃に鑑賞した韓国映画には、それまで受容してきた作品にはまるで見られなかったような、ある意味陰惨で悲惨な立場に置かれている社会的弱者が、現実的に描写され、かつ、そこで社会構造に組み敷かれ抹殺されるのではなく、必ず何らかのかたちで救い取られる、という徹底的な姿勢が貫かれている、と実感したのでした。
これは、実は、ハリウッド映画をはじめとする既存の映画のストーリーに圧倒的に欠落していた視点ではないか、と個人的に感じ、このことを人生で初めて知った私は、今後ますます韓国産コンテンツの映画やドラマにのめりこんでいくことになります。もちろん、あくまでも、趣味としてですが。
この、noteはじめました、で、一昨日から書かせていただいていますが、2001年当時から2004年韓流ブーム、BTSデビュー2013年を経て、現在の2024年まで語るのはまだまだ相当時間がかかりそうですが、少しずつ、ゆっくり書かせていただればと思います。ああ、いったい、いつ、最愛のBTSJINくんの転役後の今の時期にたどりつけるのかしら。残り24年分…なるべく端折りながら書かせていただいて、なんとか、現在の2024年に追いつければ嬉しいです。(韓国と私④に続く)
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