星たちのかくれんぼ・見つけてよ。。
〜たまにはメルヘンとか〜
ヨイショ、ヨイショ。
一生懸命やれよー。
おーい。
おーい。
真夜中に、十人のこびとたちが、一心に斜面を掘っている。
「何をしているの?」
わたしは、こびとたちに、訊ねてみた。
こびとたちは、答えてくれない。
ただ、一心に掘っている。
仕方がないので、わたしは、歩きだした。
少し行くと、また、もう十人のこびとたちがいた。
彼らも、一心に斜面を掘っている。
ヨイショ、ヨイショ。
一生懸命やれよー。
おーい。
おーい。
ーーあ。わかった。
思わずわたしは叫んだ。
ーートンネルだ!
こびとたちは、右と左から、おたがいに斜面を掘りあっていたのだ。
こびとたちは、おやまの斜面を、掘り合っていた。
「なかに、なにか、あるの?」
わたしは聞いてみた。
「わかんないけど、きっと、なんかあるのさ。」
ひとりのこびとが答えてくれた。
「そうなんだ。わかんないけど、掘っているのね。」
「わかってるなら、ぼくは、掘らないよ。」
もうひとりのこびとが、くちびるをとんがらせながら、不満げに答えた。
「ごめん。」
なんだかわからないけど、わたしは、悪かったように思って、怒っているこびとに向かって、謝った。
そのうちに、斜面は、少しずつ、崩れて、やがて、不思議に、光りだした。
ーーえ?
わたしは驚いて、少しあとずさりした。
十人と十人のこびとたちは、どんどん近づいて、一か所に集まって来た。
もう少しだ。頑張れ。
夜が明けちまうぞー。
開ける前に終わらせないとなー。
ほい。ほい。
やったぞ!
二十人のこびとたちは、それぞれに、表情をくずして、喜んでいた。
やがて、斜面は、あとかたもなく崩れた。
すると、青くて白い光が、眩しく輝きだした。
こびとたちは、トンネルを掘っていたのではなかった。
おやまを崩していたのだ。
これで、いいよね。
もう、大丈夫だね。
あんしん、あんしん。
きっと、見つけてもらえるよ。
そう、口々に言い合いながら、こびとたちは、にこにこしている。
崩れた斜面から現れたのは、なんと、
青くて白く輝く「お星さま」だった。。
ーーお星さまが、おやまのなかに、かくれていたなんて。。
わたしは、驚いた。
わたしのこころの声が聞こえたように、そばにいたこびとが、
「そんなことだって、あるのさ。」
と、言った。
ーー見つけてもらえるって、なに?
またまた、その横にいたこびとが、わたしのこころの声を聞き取って答えた。
「このお星さまと、同じ“ヒカリ”を持ったお星さまが、このお星さまを見つけるのさ。」
お星さまの「ヒカリ」は、「道しるべ」なんだ。
ーーふうん。そうなんだ。
よくわからないけれど、わたしは、頷いてみた。
「見つけてくれるといいね。」
「ほんとにね。」
こびとたちは、口々に、そう言った。
「二つの“ヒカリ”は、もともとは一緒のところに居たんだ。」
「だから、また、会えたら、うれしいし、おたがいに優しく輝けるはずなんだ。」
「もっと素敵な“ヒカリ”になれるのさ。」
ーーそうなんだ。
ーー出会えますように。
“二つのヒカリたち”が。。
よくわからないけれど、わたしも、こびとたちと一緒に、祈ってみた。
祈っていたら、目が醒めた。
ーーあ、夢だったのか。。
ーーそんなことだろうとは思ったよ。
わたしは、ちょっと、恥ずかしくなって、笑った。
でも、やっぱり、なんだか、二つのお星さまが再会出来ることを、祈りたいな、と、少し、思った。
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