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大家さんと小娘

カラテカの矢部さんが執筆した、「大家さんと僕」を、私はまだ全て読んだことがない。ただ、ネットで第1話を立ち読みをすると、とてもほっこりするエピソードが多くあり、大学時代の生活に戻ったような気分になった。

小娘の過ごした下宿

小娘は留学除いた大学4年間を、下宿で過ごした。大学生協を通した内見で、速攻で入居を決めた。他の下宿よりも圧倒的に雰囲気が良かったからだ。

小娘は留学に行くまでの2年間と、留学から帰ってきた2年間、この下宿でお世話になった。今でも覚えているが、12月ごろに留学先のイギリスから母親に、今のうちに大家さんに4月からまた入居したいまでを伝えて欲しいとお願いをした。とても人気の下宿だったため、早めに言わないと満室になってしまうからだ。

私の通っていた大学付近には、何件か下宿があるのだが、自由に過ごしたい大学生にとって、下宿に対するイメージが良い人は少ないように思えた。バス・トイレ・洗面所・洗濯機は共有、ご飯は時間が決まっているからだろうか。私の友達でも、他の下宿にいたが、一人暮らしに切り替えた人は相当数いた。

小娘の下宿は、14部屋ほどあり、2階建て+増築というとても大きいお家だった。確か2階が4部屋ほどあり、1階は7部屋、増築部分に3部屋というような構造だ。増築部分は女子専用で、最初の2年間は女子専用部屋にいた。留学から帰ってくると、女子専用部屋はいっぱいになっており、1階の1部屋をお借りした。

下宿の大家さん

現在教員として働いてから本当に痛感するのだが、大家さんは明らかに働き過ぎだ。当時入居者はマックスの14名。年末年始とお盆、祝日を抜いた月〜土、毎日全員の朝晩のご飯を作ってくれた。もちろん栄養バランスを考えた、美味しいご飯をだ。基本夜は18:00〜20:00の間で食事を済ませるのだが、アルバイト等でその間に食事ができないときは、終わる時間を伝えると、その時間にラップにかかった御膳を部屋の前に置いておいてくれる。

そんな大家さんは、年末年始やお盆の期間でさえ、どこにも行かない。市内の温泉施設に宿泊するぐらいで、絶対に市内から出ないのだ。
私がお盆や年末年始に下宿に残ることを伝えた時は、「何かあったらすぐ電話してね。市内にはいるからすぐ帰って来れるから。」と笑顔で話してくれた。

お土産とお菓子

そんな大家さんとの思い出はたくさんある。
例えば、食後のおやつ🍪貰い物だから食べて!と結構な頻度でくれたのだが、全員分ない時は「女の子たちだけね」と言ってこっそり渡してくれた🤫

そんな大家さんに、小娘は海外や国内旅行に出かけると、日頃のお礼にお土産を買っていた。でも大家さんは、申し訳なさそうに、「いいんだよ。そんなことしなくて。じゃあ小娘ちゃんもひとつね。」と言って、その場でお土産を開けて、私に一つと、その他の貰い物のお菓子をビニール袋にいれてくれるのだった。結局お土産の倍以上の贈り物を頂いてしまっていた。大家さんは、間違いなく、ギヴァーなのだ。

誕生日のケーキ

大家さんは、毎年小娘の誕生日も覚えてくれていて、可愛らしいケーキをいつもプレゼントしてくれた。誕生日と言えど、もらうのは私だけなので、他の住人(特に男の子たち)に気づかれないように、いつも部屋に持って帰って食べた。

結構な大きいケーキの時もあり、そういう時は他の入居者の女の子たちにお裾分けしつつ、一緒に祝ってもらった😂逆に、他の女の子たちの誕生日に、彼女たちからケーキをお裾分けしてもらう時もあり、そんな時は一緒に祝った。そうやって、大家さんは、私たち住人が寂しくないように、そして自然に私たちが繋がれるように、下宿の温かい雰囲気を作ってくれていた。

大家さん=第二のお母さん

冒頭で、イギリスにいる際に、母に頼んで次年度からの入居の予約をしてもらった話をしたが、無事に予約は完了した。3月にスーツケースを持って、下宿に戻ると、変わらない大家さんが出迎えてくれた。

「小娘ちゃん、おかえり。」

その言葉を聞いた時に、
「ああ、ここは私の大切なお家だ。大家さんは私にとって大切な家族の一人だ。」と思ったのをよく覚えている。

そして1年ぶりの再会に、2人で叫びながら、手を握り合った。大家さんは本当に優しくて、温かい人なのだ。

大家さんとは、卒業した今でもたまに連絡をとる。特に大きな地震や台風が来た時は、「大丈夫かい?」と一番に連絡をくれる。そして、毎年の誕生日も、変わらずメッセージをくれるのだ。卒業して、その地を去った後も、こうやって気にかけてくれる人は、そういない。まるで、第二の母のような存在なのだ。

ある時、大家さんから連絡が入った。下宿のホームページができたという内容だった。確かに以前から、業者に委託してホームページを作成するとことは聞いており、私と他の下宿生との写真を使わせてもらってもいいかと、話は受けていた。

その完成したホームページが本当に素敵で、写真を見るたびに大学生活に戻った気分になる。

今大家さんはどうしているのだろうか。

変わらず学生の味方でいて欲しいが、身体にも気をつけて過ごして欲しい。また近々、下宿にも顔を出しにいきたい。たくさんの土産話を持って、また会話に花を咲かせたい🌼


写真は下宿近辺の綺麗な紅葉🍁
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