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第11話 引き寄せのクリームシチュー

11月も最後の週。

布施オーナーのカフェが来週にいよいよ開店する。昼間はパスタ中心にメニューも豊富、カフェ用にケーキも充実してて、夜はお酒も提供するので、メリハリがつくように、窓からの彩光を工夫したカフェ。カウンターの銀杏の一枚板のテーブルが印象的だ。
何ともオシャレで、これはまた流行るだろうなという感じ。ディナータイムの照明とウォールナットのテーブルの魅せ方も、洗練さと温かみの両方を感じられる配置になっている。
いやー良い仕事したなぁ。完成して、引き渡しは済んでたけど、いざ開店前の状態を見学させてもらうと、改めて達成感を感じる。

この前、そろそろクリスマスも近くなって、我が家でもクリスマスツリーをいつから出すか、という話になった。感覚的には12月に入ってからやんね?でも、年々クリスマスに触れる時期が早くなってる気がして、ココちゃんによるともう保育園でもサンタさんの話しをしてるらしい。
だから、ココちゃんもクリスマスツリーを飾りたい!って言うのね。ま、12月に入ったら飾ろうかなと思ったけど、この前の日曜にカカさんがベランダのローズマリーをクリスマスツリーにしたら?って提案してきてさ、その発想にビックリしたわけ。うちのローズマリーは立派に育ってるけども。クリスマスツリーのようなシルエットではあるけどさ笑 でもね、カカさんにもちょっとした狙いがあったようで、香りと思い出…というか記憶を繋がらせたかったんやって。

毎年のクリスマスの季節にローズマリーのツリーにオーナメントを付けて、その時のローズマリーの香りがココちゃんが大きくなった時のクリスマスの記憶になると、それはそれでステキだなと思った。特にローズマリーは色んな肉料理の香り付けに使われるし、ココちゃんが大人になって、美味しい洋食を食べる度に、子どもの頃の家族で過ごしたクリスマスを思い出してくれたらなぁ…て考えたのが、この前の日曜日。

今日はね、ココちゃんをお迎えに行ったら、担任のあやみ先生が、ココちゃんが0歳の子たちのお姉さんみたいにしっかりとしてくれてるって教えてくれた。お散歩前に人数数えたり、保育士の先生たちのお手伝いをしてくれてるんやって。さすがココちゃん。リーダーシップは母親譲りだな。

保育園の玄関でめっちゃ「にゃーい!」って聞こえてきて、ココちゃんも「にゃーい!」ってめっちゃ言う笑 いつもはお迎えに行ったら「トトさーん」って言うのに、今日は「トトさんにゃーい!」って言ってケラケラ笑いながら足にくっついてきた。
あまりに可愛いので、あやみ先生に理由を聞いたら、同じ組のりっくんていう男の子が、いつも「にゃーい!」って言うのをみんなが真似しだしたって。
今日のココちゃんは保育園から帰る時も、みんなに「にゃーい!」って言うし、帰り道もずっと「にゃーい!」と言ってた。

さ、帰ってきたよ!今日はね、クリームシチューを作ろう!陽が落ちたら本当に寒いね。温まる食事を作らないと!
冷蔵庫には、たまねぎ、にんじん、ジャガイモの基本セットの他にもブロッコリー、鶏もも肉があるし、シチューのルーもある。よし!

いざ、調理開始っ!
①まず、玉ねぎとにんじんはくし切りにするよ。じゃがいもはあんまり存在感があってもなーと思うし、適当な大きさに。大事な事は煮崩れしない事だよね。ブロッコリーは茎を取って、洗っておこう。
鶏もも肉も一口大に切るよ。ちなみにさ、鶏もも肉は皮のある方を上にして切るよ。皮を下にする人もいるけど、オレは昔からから皮の方が上。包丁の手入れをちゃんとしてたら、こっちの方が切りやすいと思う。

②じゃがいもはすぐ煮崩れ防止で、他の野菜たちと同じタイミングで煮込めるようにあらかじめレンジで温めておく。

③コトコト煮込んで、カカさんの帰りを待ちたいところ。圧力鍋で時短でやろっかな。短時間なら煮崩れもしないしね。少しだけサラダオイルを入れて、肉と野菜をササっと炒める。後で煮込むから、今はちゃんとは炒めなくていい。  

④分量の水を入れて沸騰させて、少し煮込む。アクを取りながら20分くらい。コンソメを入れるよ。

カカさんから電話がかかって来た。ココちゃんがすぐに「カカさん?!」って反応して、スマホ越しに「カカさんにゃーい!カカさんにゃーい!」の連発。
もうすぐ帰ってくるって。よしっ!良いタイミングだっ!

⑤煮込めたら火を止めて、ルーを入れてかき混ぜる。ルーが溶けたら牛乳とバターも入れる。弱火で煮込んで、はい!完成!

もう一品はルッコラのサラダ。ルッコラは昔から大好きだ。この苦みとゴマの風味がなんとも言えないイタリアン感を出してくれる。
ドレッシングはお手製で。オリーブオイルにほんの少しだけニンニクを入れて、塩、ブラックペッパーとレモン汁も入れて混ぜ混ぜ。手の甲にチョチョッと置いて味見。誰も見てないのにプロの真似。
めっちゃ小声で「ん」って言ってみた。アンチョビとか入れたら大人の味になるだろうけど、塩分強すぎやし、冷蔵庫にあったしらすを混ぜてみた。上から粉チーズをたっぷりとかけて出来上がり。簡単でしょ?でも、うまいのよ、これが。

あ、パン買い忘れた。と思ったところにカカさんがバケットを持って帰ってきた。ちょっとね、本当にびっくりしたわ。やっぱり、カカさんとオレは見えない何かで常に繋がってるんだ。
だって、普段バケットとか買って帰ってこないのに、奇跡でしょ!クリームシチューが引き寄せてくれた奇跡だ。

少し煮込みを加えてから、3人で晩御飯。
冬にあったかい部屋の中で食べるクリームシチューって、CMみたいだなと思いながらおいしく食べたよ。

ココちゃんがスプーンでも食べながら左手も口に持っていって、じゃがいもを握りつぶして落としちゃった。
カカさんはすぐに注意したけど、(いや、ココちゃんもまた「にゃーい」って笑)このじゃがいもを触った感触とか、ほっぺについて乾いたでんぷん質の不快な感じとかも全部体験してほしいんだよ。それが一つひとつ経験になっていくんだから。


カカさんがバケットを買ってきたのには、違った理由があるようで…?
カカさんサイドのお話はこちらから!

ココちゃんとトトとカカは毎週水曜更新です!

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