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まど・みちお画集 とおいところ

とあるYouTuberさんから紹介された本。
まど・みちおさんの画集 『とおいところ』

まど・みちおさんといえば童謡の作詞家として有名だ。
「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ドロップスのうた」「いちねんせいになったら」「ふしぎなポケット」「はしるのだいすき」などなど。みんななじみ深いものばかり。

2014年に104歳でなくなるまで現役で活動されていた。50歳を過ぎた頃からこつこつと描き続けた抽象画とそれに添えられた詩の本。

そこにはまどさんのもうひとつの世界が広がっていた。この世に存在するものはすべてが陰陽のバランスで成り立っている。光と闇。善と悪。男と女。
背中合わせにもたれ合いながら、絶妙なバランスでそこに在る。こどもの瞳で見つめるような純粋で優しい詩の世界と、人間の心の奥底をえぐるような画の世界が、まどさんのバランスなのではないのかなと感じた。
まどさんへのインタビューが巻末に載っていた。
「〜私が視覚にもとめているものも、その見る自由であって、大げさかも知れないが、それを守る最後の砦が抽象画だという風に私は考えているらしい。」
「〜耳が最も耳らしくなれる時は、会話をではなくて音楽という抽象を聴く時であるように、目がほんとうに目らしくなれる時は、「読み」から解放されて絵という抽象を見る時ではあるまいか。目はその時、自分の存在を確かめるようにして見ることができるのではあるまいか、と私は思うわけである。」

私は静かな衝撃を受けていた。抽象画というものをそんな風に見たことがなかったからだ。
『視覚が「名前」と「読み」と「意味」から自由になれる唯一の世界が抽象画である』なんて。。

私の心の中にも、まだ表現できていないもうひとつの世界が潜んでいるのかもしれないと、何か新しいものを発見できたようなワクワクした気持ちになれたのだ。
私は、私の人生にとって最善で最適な瞬間にこの画集に出会えた。すべては宇宙のタイミング。
それを見逃さずに、気づくことのできる柔らかい心をいつまでも持ち続けたい。 

〜詩人まど・みちお100歳の言葉〜
『どんな小さなものでも見つめていると宇宙へつながっている』
素晴らしい詩と画をありがとうございました。
合掌🙏

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