平熱日記2024_気候変動とアナログ
8月某日
お盆過ぎだというのに、やれ36度だ37度だ、名古屋は39度だという日々である。実に体にこたえる暑さであり、天気予報では「危険な暑さ」と連呼される。まさに気候変動であり、熱中症で搬送される人々は増加するばかり。スーパーまで昼食の買い物に行くのも大騒ぎである。明日から仕事だというのに、気が萎える。
8月某日
結局8日間取ったお盆前後の夏休みにどこへも出張らなかった。ただ家の周辺を歩き、自転車に乗り、酒を飲むだけであった。原因はなんといってもこの暑さである。35度は当たり前、下手をすれば40度近くまで上昇する。この炎天下を駅まで歩き、電車で移動し、目的地でまた歩きというようなことは、もちろんできるのだが、それよりも冷房の効いたリビングで安穏に過ごしたいという気分が勝ってしまう。だから当初計画していた銀座ライオン、新大久保の韓国料理、浅草伝法通りの外飲みなどすべてなし、で、秋に回すことに。しかしこの夏にやったことはエアコン2台のクリーニングの外注とまたしても故障したドラム式洗濯機の買い替えであったとは。いくら暑かったとはいえ、少々情けないが、寝室のエアコンの効きは抜群に良くなり、うれしいのがなんとも。
まあ夏休み中のささやかな目標としていた「Femme Fatale弾き語り」と「Venusの1stギターソロのコピー」は達成。Femme Fataleは愛唱歌になりそうで、これは収穫。
8月某日
月、火、木の休肝日は続いているのだが、少々困ったことに直面している。夜半に目が覚めてしまうのだ。それも10時に入眠すると11時半に目が覚めるといった、かなり極端な目覚めなのだ。その後に朝まで眠ろうとするのだが、意識がほとんどあるということは深く眠れていないのだろう。ほとんどノンレム睡眠に至らないようだ。日中、とても眠い。どうしたらよいか誰か教えてほしい。
あと休肝日の当日・翌日は自分でも驚くほどテンションが低い。というか普通である。年相応に落ち着いたしゃべり方なのだ。いかにアルコールがテンションを引き上げていたか、を実感する。
8月某日
久々に神保町、お茶の水を回り中古レコード漁り。今回の獲物はLou Reedのアナログなのだが、案の定出物なし。しようがなくCDを4セット買う。「Metal Machine Music」「Loaded~デラックスエディション~」「Song For Dorella」「VU」
「Metal~」はどれほどひどいのか(!)という好奇心からだったが、いや、まっとうな(?)ノイズミュージックではないか。Eギターのフィードバックは多様な表情を見せ、決して批判者が言うような単調なだけのものではない。ここまで徹底してはいないが、ジミヘン、ザッパなどはこれより前にフィードバックノイズを音盤化しているのだ。そしてフィードバックさせるその姿は、ロックファンは「カッコイイ!」と思ったものだったのだ。この分野に詳しい息子は「ドローン系だ」とか。調性の音楽に飽きたときに聴くのが良いかも。しつこい宗教の勧誘が来たら部屋にあげ、これをBGMにするのも良いかも。これを聴く状況で聴こえ方が変わってくるだろうという点で、あるいは音で景色を変えていくという点で、これは環境音楽なのだともいえよう。無論ヘビロテになるかどうかは別問題。
「Loaded」はオリジナルトラックは明らかにオーバープロデュース。曲調もポップすぎるが、これはReedが売れ線に走ったということか?これから聴くボーナストラックの出来で評価をしよう。
「Dorella」は傑作「New York」リリース後の(確か)Reed充実期であり、Caleのイマジネーションあふれる演奏とともに素晴らしい出来。ちなみに「New York」を買ったのは実は先日で、480円とかだった。リリース当初は結婚するやら子供が生まれるやらで常時金欠状態だったので、たぶんレンタルで済ませたのだろう。泣ける。その「New York」、やはり最高だった。曲もだが、Reedとラスケの想像力豊かなギターを左右に振り分けているのが実に快感なのだ。
ベルベッツの未発表曲集「VU」は未聴。であるが、これも以前レンタルで借りて聴いたはずだが、印象は薄かった。
4セットで3000円程度と安かったのは良いのだが、アナログの値上がりにはあきれる。Reed の凡作まで4,5000円ほどもするのだ(「Mistrial」とか)。売値はここ10年で3倍~20倍になった感覚である。段ボール箱の100円レコードセールなどもなくなってしまった。売り手側は昨今のアナログブームを当て込んで荒稼ぎしているつもりだろうが、いつか自分の首を絞めることになるんだよ。
ちなみに「New York」と合わせて買った「Velvet Underground(3rd)」は、「White light,White heat」という嵐の後の静けさ的傑作だった。これがCD2枚で1000円しないという不思議な感覚。オリジナルアナログはもとより、普通のレイトプレスなどでも5万円でも買えないだろう。これを見ても今のアナログブームを投資の一環ととらえているものが相当数いることが分かる。
8月某日
深沢七郎「人間滅亡的人生案内」読了。「人間の本質はただぼ~っと生きること。具体的には食べ、性交し、脱糞すること。これ以外のことに意味はない」70年ごろの雑誌「話の特集」への投稿に対する回答なのだが、当時の若者の悩みが哲学的、思想的であることにまず驚く。学生運動全盛期であり、いやおうなく自分の存在や行動、思想・無思想などを深く考えていたのだろう。そして50年後、これら「思想」などは特別なものとなり、即物的な考え方が蔓延したということか。私自身も読者の文章が読みづらかった。最近こういう文章を書く人がいないのだ。また、当時と現在の人々の「物欲」の強弱を考えてみる。あるいは「二十歳の原点」と「コンビ二人間」から受ける感銘を対比してみる、とか、いろいろ考えてしまった。
未読の本がたまってきた。久生十蘭、岡本綺堂、藤沢周平、内田百閒、松浦理恵子などなど。これは、ある作家を気に入ると軽い躁状態になってネット通販に注文するのだが、到着する頃には別の作家に気が行っているということがあるせいなのだ。少し心のありようが平静ではないのかもしれない。
最近の読書は、実に流れていく感じである。今朝深沢七郎を読了したので、今日は何を読むのだろうと見ていたら(自分を、です)、色川武大の短編集「遠景、雀、復活」を選んでリュックに入れていた(自分が、です)。なるほど、そう来たか(離人症か?)
8月某日
なかなか小説のモチーフが浮かばない。ふと故郷独特の方言をモチーフにして、いくつかのエピソードを絡ませてみようかな、などと考える。だらず、とっぱあ、じるい、ばばらけ、どげえもこげえも、けんびき、きがわりい等。分からないでしょ?
8月某日
大型台風10号接近中。期末監査は終了し、8月のレポート類もまとめてしまって余裕もあることもあり、出社を取りやめる。
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