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真夜中のダンディー

<詞>

桑田佳祐
「今回に限っては詞は悩まなかった。本音のところだからね。」(1993年)

桑田佳祐
「今回は不滅のテーマを書きたかったんです。自分も含めた男の生き方。僕と同世代の日本人の男の生き方みたいな。生まれてから学校に行かされて、卒業して会社に入って、上司とか部下とかいろいろ出てきて、そうした中で自分自身を振り返った時にカッコイイ男でいられるかなっていう。僕自身そういうのが1度もなかったっていうか、自分をカッコイイと思うナルシズムみたいなものに縛られていなかったし。
つまり、僕もそうだけど”アナタはどうだ?”っていう歌。」(1993年)

<曲>

「曲自体もシンプルなものを求めました。ここ数年サザンでやってきた音作りは、狭いところから音楽的にレンジを広げた中で音楽を表現するという実験でもあったんですが、ソロの場合はナロウ・レンジの音楽がいいなと。音数が少なくて、シンプルに聴かせるのが、いちばん説得力があると思うからね。」(1993年)

翌1994年アルバム「孤独の太陽」に先がけリリースされたソロシングル。筆者が初めてこの曲をテレビ番組で観た時、この骨太なゴツゴツした歌やサウンド、その時の桑田佳祐のたたずまいも含めて、この後のソロ活動がこんな路線で行くのでは?とワクワクした記憶がある。

この1993年はサザンデビュー15周年でちょっとしたお祭り騒ぎ。7月には「エロティカ・セブン 」「素敵なバーディー (NO NO BIRDY)」のシングル2枚リリースでいかにも皆さんの望むサザン路線でガックリきてたところ。

の「真夜中のダンディー」  10/6リリース

と思いきや11/20にはサザンでシングル「クリスマス・ラブ (涙のあとには白い雪が降る)」をリリースしてまたもやガックリwした思い出。

蛇足だが
12/1に第1回目のAct Against AIDS、
12/11からは「しじみのお味噌汁」コンサート
と超過密スケジュール&それぞれの世界観がジェットコースター並みのアップダウン。

これを書きながら気が付いたんだけど、お得意のイベント向けに製作した楽曲で初のチャリティーコンサートであるAAA向けにシビアでヘビーな曲になったのかと。AAA‘93でも歌ってましたしね。

<MV>

レコーディングエンジニア林憲一
「真夜中のダンディーのミュージックビデオの中で、桑田氏が向かっているマイクは (ノイマン)U-47tube だ。こちらはミュージックビデオ撮影時に実際に歌っている(CDとミュージックビデオでボーカルテイクが違う)ので、マイクの正面は桑田氏の方を向いている。マイクに装着されている“ポップフィルター”(ポップガード、ウィンドウ・スクリーンとも呼ばれ、破裂音、パピプペポなどの半濁音によってマイクが吹かれるのを防ぐ役割をしている。吹かれると“ボコッ”というノイズが入り厄介なのだ)は、当時アシスタント・エンジニアであった筆者が茶漉しを使って急造したもの。横アングルのときにわかるが、フィルター効果を狙って挟み込んだ白いティッシュが息でパタパタ動いてしまっているのが反省点・・・(黒く塗っておけばよかった)。当時のエンジニア今井邦彦氏、そのあとを受け継いだ筆者、そして現在サザンオールスターズを担当する中山佳敬氏に至る四半世紀以上、まさにあのミュージック・ビデオに映る U-47 tubeそのもので、桑田氏のボーカルは録り続けられている。」(2018年)

音楽クリエイターのためのマイクロフォン事典


レコーディングエンジニア林憲一
「桑田さんのボーカルマイクは90年か91年に買った(ノイマン)U47 TUBEを今でもメインで使っています。「真夜中のダンディー」のミュージックビデオに出てくるマイクです。
あのビデオって演奏は完パケのものですが、歌は桑田さんが本当に歌っています。歌だけCDとは違うテイクなんですね。あえてレトロな雰囲気のヘッドフォンを着けて、マイクはU47 TUBE。口元は大きめのウインドスクリーンを使うと顔が映らなくなるので、ビートルズが使っていた、マイクにはめ込む小さいやつがいいな、と。でも当時そういうものが日本になかったので、僕がスタジオの給湯室から見つけてきた茶こしをぶった切って作ったら、いい感じになって(笑)。ただ、間に薄いスポンジとティッシュを詰めたら、横のアングルの時に(ティッシュの)白いのがパタパタしてしまって(笑)。しかもビデオの桑田さんのアップをよく見ると、ちょっと唇が切れて、血が出ていた。たぶん、僕の茶こしの網の処理があまくて、歌っている最中に触れて、切れちゃったんでしょうね。桑田さんには申しわけなかったです。」(2019年)

サザンオールスターズ公式データブック1978-2019

<1999.11.03記>
<2024.11.15追記>

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