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新春、料理人の心意気を感じる―川国風味 小林(東京すみっこランチ その15)

 年の初めに、とても素敵な中華のお店に行って来た。京王線の芦花公園駅から徒歩4分ぐらい歩いたマンションの1階に「川国風味(かわこくふうみ) 小林」はある。お店の入口は、木のドアに小林の字がくり抜かれていて、面白い。写真を撮ったはずが、削除してしまったみたい。「満席」の看板がかかっている。予約しておいてよかったな。

 入ると、天井の高い店内。お客さんは、3人の男性とお一人のマダム、そして私たちのみ。店主お一人で料理もサービスもしているから、お客さんをたくさん取らないのだろう。

 私たちのテーブルの横には、梅の絵が描かれた大きな扇子が飾ってあった。めでたい気持ちになる。

 ランチのミニコース(2200円)を注文する。私は、カキのオイスターソース炒め、相方は小エビの白いスープそばにする。

 出してもらったジャスミン茶を飲みながら、ゆっくりお料理が出て来るのを待つ。

 まずは前菜が登場。クラゲ、カシューナッツ、牛スジ、名古屋コーチンの蒸し鶏。牛スジも蒸し鶏も、ソースがおいしい。私はナッツ類はあまり好きではないのだけれど、こちらのナッツは甘じょっぱくてポリポリといくらでも食べられそう。クセになる味だ、と思ったら、お土産用に販売もされていた。

 お次は、豆腐と干しエビのスープ。豆腐にエビのうまみがマッチしている。お腹を壊しているときでも、これなら大丈夫そう。

 中華でコースをいただくのなんて、いつぶりだろう、と思う。こんなにリーズナブルなのに、こんなに一品一品ていねいに作って出してくださることに感激する。自らのベストを尽くして、お客さんを喜ばせようという、料理人の心意気がひしひしと感じられる。そして、たくさんお客さんを取らない理由もよくわかる。
 スープと一緒にザーサイも出てきた。すぐに相方が食べてしまったので、写真は食べかけ。しょっぱくてお酒のアテによさそう。私は飲まないけれど。

 ようやく真打ち、カキのオイスターソース炒めがご飯と一緒に供される。カキはしっかり衣がついていたから、揚げてあるのかなあ。シャキシャキしたクワイや、エリンギが添えてある。具材も味つけもカキのメインは、甘じょっぱくてご飯の進む味で、辛いのが苦手な私にはぴったりだった。

 こちらは相方の小エビの白いスープそば。白湯(ぱいたん)をベースに、牛乳でまろやかさを出しているという。エビはプリプリでおいしいし、スープもくどくないので、もらって飲んだ。

 最後はデザート。五香粉のかかったキャラメルポップコーン、金柑、ザクロのかかった杏仁豆腐、ごまのアイスと、盛りだくさん。スイーツ好きには、たまらないし、アイスや金柑をお猪口に入れているのも面白い。

 ポップコーンは五香粉がかかっているので、ちょっぴり大人の味に変身している。ごまのアイスは、ごまの風味を全力でアピール。プルプルの杏仁豆腐を、おいしいなあ、と食べていたら、相方は「これ、ヨーグルト?」だとさ。がっくし。金柑はあげると言われて、私が二ついただいた。

 1時間ぐらいかけてゆっくりランチして、寺山修司展へ。展覧会のついでに中華でランチ、という計画だったのだけれど、中華に感動し過ぎて、ランチがメインの感あり。心の中で再訪を誓う。

 寺山展は一室のみで開催されていて、写真を撮影できるのは、短歌の垂れ幕があるところだけ。

 寺山展では、ムットーニのからくり人形も楽しみにして来た。残念ながら、寺山作品を題材にしたからくり人形はなし。4つのからくり人形が見られたけれど、私の一押しは漱石の『夢十夜』の第七夜を題材にしたもの。短い中で予想外の展開が待っている。今さらながら漱石の話術に感服した。第七夜はこちらからどうぞ。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。みなさんにとって、1年のスタートがよいものでありますように。

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