たからもの
山形県の庄内地方を中心とした方言の中に「たからもの」
という言葉がある。
意味は、役立たず、道楽者、馬鹿者。主に馬鹿者と言う
用法で、夫が妻を罵しる時や、親が、子供を叱る際にも
使われる。
飾っておくだけで、何の役にも立たないところが、おそ
らく語源と思われる。
庄内出身の私には、たからものと聞くと、方言としての
語彙感が、強いのである。
唐突だが、NOと言える日本人の代表格は、庄内地方の
人を指すと考える。
なぜなら、「んだのー・そーだのー・んでねのー」
生まれた時から、違和感なくNOと言えるようになって
いた。
元ソニー会長の森田昭夫と、政治家の石原新太郎等が書
いたエッセイとは異なるが、間違いではない。
又、庄内弁は、フランス語っぽいとも聞く。
例えば、「~でゅう」→~な気持ちになる。
「まぐまぐでゅう」→気持ち悪くなる。
「はかはかでゅう」→どきどき、ハラハラする。転勤や
嫁入りで庄内地域を訪れた人は、初め何を言っているか
解らず、何となく音感的に、フランス語っぽく聞こえる
らしい。
標準語では言い表せない微妙なニュアンスを見事に表現
してくれる。
たからものに話しを戻すが、親は人前で自分の息子を謙
遜して、「おらえのたがらもの」と紹介する。
控えめな言い方を好む、土地柄でもある。
そんな自分も、たがらものである。
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