見出し画像

スマホを落としただけなのに

私は憂鬱だった。

世界が残酷に見えていたから、教える必要がある厳しさがどれほど理不尽なものかを考えていたからだ。決まり事に支配されることがもう嫌になっていた。
朝は無理をしてエナジードリンクを飲み、空元気をしてしまえとヤケになった。
校則で収まればかわいいものだろ、と思い授業中に朝抜いてきた食事をするという行為をした。
躊躇いなくカレーパンを食べた。
しょうもなく聞こえると思うが、
これは罪を受け入れる為にしたことだ。

自分が真面目に生きてないとまで言われてしまったことがとても気に食わなくて世界が憎いとまで思ってしまっていた。

嘆く人間がだいたい世界に多すぎる。ならば自由になってしまおうと心に決めてしまい、理性じゃどうにもならないストレスを吐き出した。もちろん説教は喰らい、先生には空腹で仕方なかったんだと言った。

それは本当にそのつもりでしたことではない。真に意味していたのはどうせ苦しむなら社会に反旗を翻してやろうという気持ちの表れだ。これは空元気しがちな私の強さを示してやろうと強がりでやったことだ。なんで私が学費のことや私立国立ごときで全ての行動を過敏に監視されなければならないんだ?
と感じてしまったのだ。

これまで一年間以上に渡り溜め続けたストレスがついに体を蝕むどころか、ストレスのままに動いてしまったのだ。
このまま環境を憎んでも意味がない、と気付いてから人に優しくされるのが憂鬱にもなった。どれほど自分がストレスを溜め続けたか計り知れないのだ。

倫理観を矯正したいと思い、音楽を聴いていた。
バレンタインなんて日に浮かれている人を見た後の落差を説教から感じていた為、激しい曲を聴いていた。

それがこの曲だ。

ヒミツ ポルカドットスティングレイ

この曲は逃げられない悲痛さを示していて、正直逃避行動を起こしたい自分の感情を率直に表していた。自分が書いたかと思った。
ストーカー気質の恋愛にも、苦しい状況にも適用できてしまう曲だった。

実はバレンタイン、高校生ながらに思わせぶりな態度を取っていた子に期待をしていた。
恥ずかしながら勘違いだったのだが、俺から連絡をしていたのが馬鹿馬鹿しいじゃないか。
しかし好きだった、説教をしてきた大人たちも、その思わせぶりな女子さえも、クラスの心配してくれる友達も。

どうしてそうなるのかも理解できないまま時間を過ごした。倫理観を直したいと思っていたら、上にあるあの曲は映画の曲らしいことを知った。

スマホを落としただけなのに

犯罪の残酷さを知ることで自分を抑制しようと考えた。本当に見てよかった。犯罪をしてはいけないのは自分の倫理観にも勿論のこと適用されるが致し方ない犯罪なんてもの、過失以外は無いのだ。
好きな人は守りたい。だから受け入れると決めて、思わせぶりな子には悩みがあるのを知っていたから悩み相談相手になることにしたし、母親はもう許すことにした。まぁいい人になっておけば恋愛も勉強も後々うまく行くんだろうなと勝手に想像したにすぎないが。
本当は世界は犯罪があるし社会に出れば理不尽を超えた行動が沢山あるから、教育の厳しささえもなまぬるいものだなぁと思えてしまった。
いちいち大袈裟かもしれないが、一年間ものストレスが晴れてとても驚いているのだ。
世界が残酷だからこそ、周りの人を愛しているし好きになる。厳しく教えて正しさを知る。
俺は男だからそれを分かった上で受験の世界に入っていく。俺は憂鬱だった割に嬉しかった。

いいなと思ったら応援しよう!