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キタダヒロヒコ詩歌集 103 こもまくら
こもまくら高橋一三天あふぎ地に祈りたるかたちして投ぐ キタダヒロヒコ
こもまくら(※1)…「高し」にかかる枕詞。
敬虔な投球フォームと哲学的な風貌が好きだった、あこがれの投手の一人。巨人の二軍監督をされていたとき、実際に間近で接する機会に恵まれたのは忘れがたい思い出。もう亡くなってしまったので、最初で最後のお近づきだった。
巨人が好きでないのに、彼だけは別だった。交換トレードで日本ハムに移り、巨人という「野球の都を離れ」(※2)たことで哀愁を感じさせるようになって、ますます好きになったのだった。
今の日本ハムはメジャーリーガーを輩出したり、きつねダンスや新庄監督の効果もあって人気球団のひとつだけど、1970年代中盤は、つぎはぎのユニフォームを着用していたという当時の選手の証言もある。時は流れる、お城が見える(※3)だね。
(※2)海老沢泰久著『みんなジャイアンツを愛していた』の、高橋一三さんを取り上げた章のタイトルから。
(※3)中原中也訳、アルチュール・ランボオ「幸福」から。
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