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即興にツッコミ、そして広げる~国語の授業を面白く(2年ふきのとう)

2年生の教材「ふきのとう」

 即興的な動作化を中心に授業を進めた教材です。その一部を紹介しましす。
 物語中
「よいしょ よいしょ おもいたいな。」
という台詞があります。その台詞を動作化させることに。なんたって体を動かすことが大好きな2年生。じっと座って勉強するなんて…それは子ども達にとってとってもきついこと。
 動作化しながら音読する子ども達を見ていると、何度も繰り返し「よいしょ」と言っている、しかもちょっとずつ背伸びしようとしている子どもが目にとまりました。
 そこで
「ふきのとうさん,どうしてそんなに『よいしょ』と言っているのですか?」
とインタビューしました。(もちろん子どもに近づき,口元にマイクを向けます)。子どもは答えます。
「だって,早く外に出たいんだもん。」
「だって,土の上に顔を出したいんだもん。」
と。まるで自分が「ふきのとう」かのように話します。
 
 別の場面の様子も紹介しました。お日さまが登場し,
「おうい,おきなさい。」
と春風に向かって言葉を発する場面です。多くの子が演じる際に口元に手をあてていました。そこで
「お日さまさん,どうして口に手を当てているのですか?」
と私は尋ねました。
「だって,春風さん遠くにいるから。」
と子ども達。
「みんなが待っているから。」
と答える子どもも。
「大きな声じゃないと春風さんが起きない。」
と,春風の状況にも子ども達は言及します。

全員参加のために

 インタビューだけだと教師と子どもの1対1になってしまいます。やはり授業は全員参加。みんながそれぞれに考えをもち、表現することが大事です。
「どんなふうに答えると思う?」
「今なんていったの?」
などの声かけにより,全員が参加できるようにします。ちなみにインタビューのときに教師の姿勢も大切です。

 マイクは答える子ども、視線は周りの子

 数々の研究でもあるように、「人の目」は人にとってかなり影響を与えます。周りの子に絶えず視線をむけ、その反応を見る必要があります。

サークルでの広がり

 この実践はサークルで報告しました。するとA先生から,
「算数でやっているようなものを国語でもってことすね。」
とコメントをもらいました。まさにその通りです。
 算数科の授業で
「Aくんはなんて言いたかったんだろうね。」
「ちょっとまった。この続き言えそうな人いる?」
と声をかけます。
 国語でも算数でも「全員参加」のための手立ては共通している,その点を改めて確認することができました。
 
 5年生の物語教材「大造じいさんとガン」へも話が広がりました。5年担任の先生が例として出されました。教師が動作化している子どもへどう声をかけるか(ちょうど残雪がはやぶさと格闘している場面)。
「どこを見ているんですか?」
「今,撃つチャンスですよ。」
「なんで撃たないんですか?」
「私だったら撃っちゃうな~。」
と教師のつっこみやぼけがいくつも出てきました。情景や登場人物の心情を明らかにしていけそうなつっこみやぼけです。
「教師がぼけたおすことでさらに面白くなりそうですね。」
ある先生この言葉に,そこにいたメンバーは納得の表情を浮かべました。

 教師側の課題も


 一方で次のような声も聞かれました。 
「僕は『なぜ~』しか出てこないな~。」
「とっさに出てくる言葉で(その後の授業展開が)変わってきますよね。」
このような声です。とても大切な指摘でした。即興的に演じる子どもたちに対して,教師側の反応も当然即興的になります。授業前にある程度準備することはできるけれども,100%準備するのは難しそうです。
 即興的なインタビューは,質問力,コメント力を教師自身が鍛えないと「なぜ~」を連発し,結果として子ども達を追い詰めることにもなりかねません。
 1つのアイデアとして
・「なぜ」を禁止する
というのがあがりました。また,
・ちがいをたずねる
というのも出てきました。例えば先ほどの「ふきのとう」であれば,「手をあてている人がいるけれど,あてるのとあてないのでは何か違う?」という問いかけです。
 いずれにせよ,動作化にインタビューをプラスして進める授業は,おもしろそう,楽しそうだけれども教師側の力量が問われる,そのような話にまとまったサークルでした。



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