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ジブリが好きな人にも/日本霊異記 水上勉 【読書記録】
『日本霊異記』は平安時代の初め、景戒と言うお坊さんが書いた合計116話の仏教説話集。
それを小説家水上勉が41編書き直して編成したのが、『遠いむかしのふしぎな話 日本霊異記』だ。
因果応報の話の話が多い。良い行いは報われ、悪いことをするとバチが当たる。また、信心深いと奇跡が起きる。
印象に残ったのは、その話がどれも奇想天外なこと。
たとえば良い行いが報われる話では、
・蛇と結婚させられそうになる所、昔助けた蟹に助けてもらう話
・谷川に落ちたどくろを、木の上に移したら大晦日に男がやってきてご馳走をいただく話
などがある。
悪いことをしてバチが当たる話では、
・母を殺そうとした瞬間、地面が割れて落ちてしまう男の話
・稲を盗んで牛に生まれ変わってしまった男の話
などがある。
信心深いと奇跡が起きる話では、
・夫が山にあった穴の中に埋められたので、妻が絵に描いた観音像に拝むと坊さんが夫の元に訪れて助かる話
・盲目の男性が観音を拝み続けたら目が見えるようになる話
などがある。
どの話も奇想天外だ。
この本、宮崎駿がお勧めする岩波少年文庫のブックリストから知った。宮崎駿もこの本を読んだらしい。日本霊異記で描かれている奇想天外さは、彼に受け継がれていると思った。
悪いことをすると牛(動物)になるのは、「千と千尋の神隠し」の、ちひろの両親を思い出す。また、『日本霊異記』の中に鷺の本当の姿は観音様だったという話があるのだが、鷺が本当は別の存在というところに、「君たちはどう生きるか」を思い出した。
仏教説話集だが、ジブリ好きな人が読むときっと色々な発見がある本だ。
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