【下町の賞金王】挑戦のはじまり。
給料が下がり始めた・・・
40代半ばで体調を崩し、半年休職。
幸いにも休職中の手当てが思ったよりもらえたため何とかしのぎ切ったが、
復帰後は生活や働き方を見直し、求められる動きを全て受け止めることなどできず、可能な限りに制限した。
結果、毎年毎年減給に甘んじる月日が流れ、数年が過ぎた頃にはもはやこれ以上は…という生活力の限界点に達し始めていた…。
「このままでいいのか・・・?」
漠然と自問自答する日々。
「やりたいこと」と「やらなくてはいけないこと」が、年を追うごとにどんどん乖離していく。そして気が付けば、50歳を超えていた。
年金支給が65歳に代わり、少子化と高齢社会が続く日本社会において、「安定した老後」なんて悠長な言葉は化石化した。かくいう私も、社会人を初めて早30年。他人事ではなくなった。
人生100年、リスキリング、定年延長、老後資金・・・悩みは増えるばかりだ。とは言えこの年でいきなり転職活動して人生を変えるなんてこともハードルが高いので、物は試しと最近はやりのの副業サイトに会員登録して情報入力をすすめていくと…。
「プロフィール・・・?」
そこで私の入力する手がフリーズした。
「自分はいったい何者なのか?いや、何者になりたいのか?」
自分の得意分野や実績などを記載するらしいのだが、それが仕事を獲得する上でかなり重要らしい。
「そうだよな。どこの馬の骨ともわからん奴に、おいそれと仕事をくれるほど世の中甘くはないよな。」と、のっけから弱気になる。
しかし、そもそも「このままでいいのか・・・?」という疑念から突き動かされたのだから、やはり、そう安易な発想で片付けられるものでもない。
「そうだ。今やるべきは”自分はいったい何者なのか?”というアピールではなく、”自分は何者になりたいのか?”という人生の見直しを図るべきだ。」そう改めて自分を言い聞かせて、頭の中を整理した。
私はこれまで総合職として仕事を引き受け、チームを引っ張り、ビジネスを成功させてきた。会社組織では確かにそれでポジションを確立できてきたが、いざ、自分の力だけで戦うとなると話は別だ。戦う武器も技術も持ち合わせていないのだ。
「この30年、自分はいったい何を得てきたのだろうか・・・?」
私はまたしてもあらためて突きつけられた現実に怯みかけた。
しかし同時に
「だからこそ、そこに気づいた今がチャンスだ。」
「できることはきっとある。できることとやりたいことをかけ合わせれば、きっとそれが実力になるはずだ」
と自分を奮い立たせたのだった。
「サラリーマンの限界点を超えるには何が一番近道か?」
しかし、これから学校に通って、資格を取って、さあ再スタート!なんていう時間もお金もない。もともと習得した資格も技術もない。あるのはこれまで培ってきた経験と学びだけだ。
「誰もが持っているスキルをこれまでの経験や学びを活かして磨き上げていく方が確実ではないだろうか?」
私はあらためて自分のキャリアを振り返ってみた。
「これまで企画立案やアイデア、コンセプトの開発などに従事してきたし、多少のキャッチセールスなどの文章も書いてきたんだよな。」
「そうだ。デザインや映像、デジタル制作は無理だけど、アイデアにつながる手法やスキルなら下地はある。しかも、日本人だ。日本語=”言葉”を活かすことができないはずはない…。」
こうしてまずは「できること」に焦点を当てて情報収集。
一般的な副業とは少し路線は異なるが、様々お題に対して、自分の隙間時間とキャリアを使って”言葉”を活かして社会に役立つ、そんな機会を模索し続けた挙句、たどりついたのが、標語やネーミング、キャッチコピーといった”言葉”のアイデアを募集する「公募企画」だった。
「これを磨きあげていくなら、働きながら実行できるはず。むしろ本業も含めた総合的なリスキリングになるかもしれない!公募に挑戦して、勲章を手に入れる。賞金ももらえるならなおさらだ。」
そして私は決意した。
「1年以内に賞をとろう。しかも1個や2個ではなく、勲章として胸を張れるくらいの箔つけるぞ。」
こうして、「賞金王」への挑戦がはじまったのである。(つづく)