たまに秘境に行きたくなる話。
占い師。この仕事をしていると「浄化」という作業が必要になってくる。私は月に300鑑定ほど行っている。様々なお客さんが来るからこそ「あのお客さんの相談内容キツかった。確実にもらったわ。」「今日なんだかいつもより疲れた。なんか憑いてんのかな」などとよく占い師間同士で話になる。古来より疲れの語源は語源は憑かれとも言われてもいる。
その際に占い師は浄化を行う。やり方は人それぞれだ。人によっては塩やお香を使って浄化したほうがいい、お祓いできる人にしてもらったほうがいいなどやり方は様々だ。
だが私は占い師ではあるがあまりスピリチュアル的なことは信じてない。何かがついてるというよりかは、そりゃそんだけ重い話を聞いたら自分もそうなったらどうしようって不安になるし、連続してお客さんと話し続けたらそりゃ疲れるわといった感じで捉えている。
そのため私は最強の浄化方法は
・筋トレ
・米と肉を食べる
・サウナに行く
・スマホを放置して休む
だと考えている。これだけやったら浄化完了だ。
ただ時たまそれだは疲れが取れない場合がある。その際にすることは
・圧倒的大自然を味わう
これに尽きる。これ以上の浄化方法はない。私は疲れを取るために圧倒的大自然を味わう旅をする。大自然とは観光地化されてないレベルの自然。それは秘境。これはその時に行ったお釜の滝の記録。
いざ秘境へ
お釜の滝は岐阜県本巣市の山奥にある滝だ。
ここに行こうと思った理由はお盆で岐阜の実家に帰った際に暇で仕方なかっし、スッキリしたかったので「岐阜県 秘境」とGoogle検索して出てきたのがこのお釜の滝だった。
最寄りの樽見駅からは徒歩2時間ほど。人里離れた山奥。まさに秘境。
さてまずは腹ごしらえ
樽見駅の5つ手前の神海駅近くのあゆ料理屋で鮎を食べる。パワーがないと秘境まで歩けない。さすが秘境の近くで採れた鮎だ。美味しさが違う。この時点で私は既に大自然を食らっている。素晴らしい。
滝を目指して!
滝を目指して歩き始める。目標はお釜の滝の手前にある前衛の滝。どうやらそこの岩は踏み跡も残っており比較的登りやすくなっているらしい。そこから沢登りするとお釜の滝があるらしい。前衛の滝を目指してただひたすらに林道を歩き続ける私だったが?
滝どこやねん!
目的地周辺にたどり着いたのだが前衛の滝はどこにも見当たらない。スマホも圏外だ。私は多分まだ先やろ、そう思ってそこからさらに前に歩いて行った。
進んでいくと滝が落ちる音は聞こえるのだがいまいちどこからしているのかわからない。滝の音がする斜面に向かって歩いた。斜面手前で止まるつもりだったのだがあろうことかそこで滑った。そして斜面を止まることなく私の体は転がっていった。最悪や。止まろうと思って木や岩に捕まろうとするが全く留まらない。木の枝や石が体に突き刺さる。
10メートルくらい転がってかろうじで太めの雑草を掴んだ。下を見ると15mくらい下に川が流れている。これ落ちたら死んじゃう。文字通り崖っぷちだ。でも私の全体重が雑草にかかり雑草は抜ける。
あ。死んだ。そのまま落下して行った。冗談抜きに走馬燈ってものがあるんだなと思った。様々な思い出が頭をよぎる。なかなか着水しない。めちゃくちゃお母さんごめんなさいがよぎった。そして着水したが、川底に全く付かない。川底が浅くて骨折してそのまま死ぬのをイメージしたから意外だった。ある程度沈んだ後、背負っていたリュックが上に浮き上がろうとしてそれと一緒に体が浮かび上がった。
なんとそこにあったのは。。。。
お釜の滝
お釜の滝発見
見事な曲線美の岩肌にものすごい水量の滝。何か女性的な印象を強く受けた。プロポーション抜群で知性さえも感じさせるような美しい女性。まるで女神様に遭遇したような感覚に陥った。こんなに滝に見惚れたのは人生で初めてだ。
さて30分くらい経ち現実に戻る。どうやら私は前衛の滝を越えてお釜の滝の滝壺付近に落ちたらしい。だから川底につかなかったんだと納得した。骨こそ折れてないが体中、木や石で切って傷だらけで全身血まみれだ。
とりあえず日が暮れる前に帰らなきゃ。私は急いで本来登ってくるはずの沢を下って行った。
答え合わせ
沢を下っていくとしばらくして前衛の滝があった。なるほどこれはわからん。多分どっちにしろ見つけれなかっただろうが、どう見ても安心安全だ。せっかくなので前衛の滝で滝行して大自然を味わうことにした。
帰路へ
体もボロボロで帰りは樽見駅まで3時間かかった。傷口から菌が入ったみたいで家に着いてからしばらくして熱が出た。三日程寝込んだ。
秘境旅を終えて
秘境旅は今回で5回目だ。だがこんなデンジャラスな体験をしたの初めてだ。お釜の滝を行った私からすると危ないから行くなと言いたい。行くなら自己責任で。滝の手前の看板にもそう書いてあった(らしい)ただ危険を冒してみる価値のある絶景だった。
秘境へは行くまでの道のりが長い。秘境に近づけば近づくほど手付かずの自然が我々を迎えてくれる。それは時に美しく時に恐ろしい。だが全てを包み込んでくれる。私が抱えていた疲れなどとっくにどこかへ行ってしまった。私は明日を全力で戦うために、また秘境へ足を運ぶのだった。
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