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母との関わりをユニバーサルマナーの視点で見直す
「ユニバーサルマナー」とは「多様な方々へ向きあうためのマインドとアクション。”自分とは違う誰かの視点に立ち行動する”ことを特別な対応ではなく、『こころづかい』の一つと考える。」とある。
ユニバーサルマナー、ユニバーサル検定については、以下を参照してください。
ユニバーサル検定(ミライロ主催)のため、「つながるUDーハレの日とUD」というセミナーを受講した。
車椅子ユーザーと聴覚障害者が、自分たちなりの表現を活かし、結婚式・披露宴を作り上げたエピソードを聞いた。グループワークの質疑応答では、より具体的な話を対話を通して聞いた。
「自分とは違う」ことに触れつつ、違いをどのように受け入れ、寄り添っていけばよいかを考える体験をした。
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25年くらい前に見たドラマを思い出した。
車椅子ユーザーの女性と男性のカップルが結婚式をあげるために、式場をいくつも見て回るのだが、どこからも断られるというシーンがあった。
「建物が車椅子には対応していない」という理由だった。
当時の私は、「段差があるから仕方がないんだな、かわいそう」という感想をもったことを覚えている。
障害のない人が難なくできる、いわゆる「普通」のことが、障害があるという理由でできなくても仕方がないという風潮であり、そのことに異論を唱える人がまだいない時代だったのだろう。
今は随分と変わった。
障害のある人たちが声をあげるようになった。
また、差別解消法が改正された。
この両方が影響し合い、よい方向に進んだのだろう。
「合理的配慮とはこういうことなんだ」「当事者のニーズばかり言ってもだめ。法律が変わっただけでもだめ」と、二人のお話を聞いて思った。
結婚式・披露宴というイベントだけでなく、普段の生活においても、サービスを受けたい側とサービスを提供する側の共同作業が大切である。
障害のない人、障害のある人、若い人、年老いた人、LGBTの人など、いろいろな人がいて、いろいろなニーズに対応していこうというサービス業界の変化を知ることができた。
サービス業界の変化により、選択肢が準備され、自己選択・自己決定の機会が増えたのだろう。
この受講を通して、私と年老いた母との関わりを見直した。
ユニバーサルマナーの視点で。
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意欲低下の目立つ母に対し、これまでは「なぜ」とばかり考えていた。そんなことを考えると、現状にイライラし、よいことはなかった。
しかし、最近「これが母なのだ」と受け止められるようになった。
そして、こちらからいきなり提案するのではなく、
「◯か□かどっちにする?」「いつ行く?10時になったら行く?」などの選択肢を提供し、母なりの自己決定をしてもらうようになった。
このような小さなことの蓄積が、母と私の、心地よく穏やかな時間を作り出す。
母をこちら側の世界に無理矢理引き込むことなく、
「母は母、私は私」という付き合いができるようになった。
「自分とは違う」ことを認め、ハートを変えることができつつあると思う。