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「図書館の自由」についての記事で知ったこと・考えたこと

先日、朝日新聞朝刊(2023年2月4日)のオピニオン&フォーラムに
なぜ「図書館の自由」?
をテーマに3人の方のお話が掲載されていました。
全国の公立・学校図書館に対し、文部科学省が「拉致問題の関連本の充実」を求める依頼を出したことに関わってのお話です。


情報入手し 育む民主主義   門井慶喜さんのお話


作家 門井慶喜さん

なぜ公立図書館があるのか、その役割は何なのかについての門井さんのご意見を読み、私は改めて図書館というものを見直すきっかけになりました。

<門井さんのご意見の中で特に心に響いたこと>
・民主主義国家の国民は「より賢くあろう」とする義務があります。
・お金を出せずに情報の入手からこぼれ落ちる人を出さないための「知のセーフティネット」が、国や自治体が備える公共図書館なのです。
・公立図書館がもつ情報は、自分が求める情報しか見ない状況に陥りやすいネットとは異なります。
図書館は一種の「メディア」だと考えてみるといいかもしれない。情報を集め、整理して届ける仲介者です。メディアは情報を操作しようとすればできてしまうので高い倫理が求められるし、逆に権力側にメディアにむやみに口出ししない倫理が求められます
・懸念するのは、こうした介入は他のテーマにも広がりうる点です。

図書館を「メディア」と考えるというご意見は新鮮でした。
なるほど、メディアと考えると、今回の文科省の依頼は倫理に引っかかる可能性がありますね。


「知る自由」明確化の歴史   福井佑介さんのお話


図書館学者 福井佑介さん

「図書館の自由に関する宣言」の採択後、「知る権利」や「表現の自由」という言葉が広まっていったことを知りました。

<福井さんのご意見の中で特に心に響いたこと>
・「宣言」は、図書館を「民主的な生き方を教育する一つの機関」と位置づけたものでした。
・図書館は立地や利用者などの個性に応じて特集コーナーを設けることはありますが、あくまで各館の判断ですることです。政治や行政機関はもちろん、何らかの団体や集団が特定の本を集めてくれと言って、利用者を誘導するための施設ではありません。
・国は、知識や情報の自由な流通をつかさどる図書館の価値に目を向けて欲しいと思います。

私が普段利用している図書館は、その時その時でいろいろな特集コーナーを設置しておられます。今だったらウクライナや戦争に関するもの、近くの美術館で企画展がされている時はそのアーティストに関するもの、図書館の本を使って作った作品の展示などです。
これは、この土地、この時期、この情勢という条件の中で、図書館の職員さんたちが判断され、一生懸命に考えられたものと思います。
私にとって図書館は、興味を広げさせてくれるところでもあります。


市民との協同 自治の基本  嶋田学さんのお話


前瀬戸内市民図書館長 嶋田学さん

市民と一緒にいろいろな企画に取り組んでおられる図書館について知りました。

<嶋田さんのご意見の中で特に心に響いたこと>
・図書館の自由を守るには、やはり住民の理解と支持が必要です。
・今回の文科省の依頼についても、公立図書館の運営について意見を述べる図書館協議会や、利用者が自主的につくる「友の会」などの場で、議論してはどうでしょうか。民主的な図書館づくりにつながると思います。

私たち図書館利用者の行動が民主的な図書館づくりにつながり、逆に、図書館の在り方次第で利用者の考え方も変わりうるのではないかと思いました。


図書館側も利用者も自分の判断で「図書館活動」を


この記事を読んだ後、調べると、2022年11月16日にも朝日新聞に「図書館の自由 戦時の反省と決意」というテーマで記事が掲載されていることがわかりました。
第一次世界大戦前から国が図書館への介入を強めたという歴史があったのですね。
この記事には、「図書館の自由に関する宣言(抜粋)」も掲載されており、勉強になりました。

この二つの記事を通して、図書館についてじっくり考える機会をいただきました。

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