【アート日記】 美術館でブロンズ像に触れて感じてみた
先日、東京のアーティゾン美術館でブランクーシの彫刻を鑑賞しました。
それまでは彫刻にはあまり興味がありませんでしたが、この企画展で大きな刺激を受けたのでした。
彫刻家はどんな気持ちで掘るのだろう。
なぜ、この部分をこのような形にしたのだろう。
そのような疑問を抱きつつ、今回は、佐川美術館(滋賀県守山市)の友の会のイベントである、「触れて感じる彫刻鑑賞会」に参加しました。
佐藤忠良の常設展示の作品に実際に触れる、貴重な機会でした。
普段から、この常設展示で、間近で作品を鑑賞する機会はありましたが、正直言って「彫刻ってどれも同じような感じだな」というのがこれまでの感想でした。
今回、手で持てる小さなブロンズの作品をなでたり、手で包み込んだりする体験をしました。
こんなに小さいのに結構重いな。
ということは、人の大きさくらいあるものはいったいどのくらいの重さなのだろう。
また、こんなに小さいのに、彫りが非常に細かい、わずかな一彫りも貴重なものなのだろう。
いろいろ感じながら触れました。
そして、常設展示の作品にも実際に触れました。
佐藤忠良さんの作品は、帽子、ケープといったコスチュームをつけているものが多いのが特徴です。
そのため、人の肌、髪の毛、コスチュームの触感が、ヘラやブラシなどの道具で使い分けられています。
作品を間近で目を凝らしてみると、いろいろな道具の”あと”がわかりました。触れた感じもいろいろに異なりました。
目を閉じてみて、「なるほど〜、ここはタオルのふわっとした感じを表そうとした”あと”なんだ」「ここは、幼い子のプチプチの肌感を表した”あと”なんだ」と感じることができました。
私は、これらの体験を通して、まるで絵を見ているかのような感覚を味わいました。
例えば、テーブルに食物を置いたところを描いた静物画。
一枚の絵の中に、テーブルクロスの材質のしなやかさ、りんごのつるっとしたなめらなか感じ、テーブルの足のゴツゴツした硬い感じなど、いろいろな材質のものがいろいろな筆触で描かれることがあります。
まさに、その絵と同じ感覚を味わったのです。
私にとっては、不思議で面白い体験でした。
この日は、企画展がない日で、開館時間直後に入館しました。
そのため、人はまばらで、静か。展示室を一人で堪能することもでき、贅沢な時間を過ごしました。
いつ行っても、素敵な美術館です。
時間の経過とともに、館内に入ってくる光の具合がことなり、時間によって光と影と水のインスタレーションを味わうことができました。