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専門医が解説!「下の血圧が上がる」ってどういうこと?

健康診断や診察で「最近、下の血圧が上がってきたけど大丈夫?」と心配される方が多くいらっしゃいます。

よくある回答としては、

「末梢の動脈硬化を反映しているので、動脈硬化が進行しないように注意しましょう。具体的には減塩や、肥満傾向なら体重を落としましょう。」

と説明されることが多いですが…

「末梢の動脈って何?」「動脈硬化があると、なぜ下の血圧が上がるの?」といった疑問が出てきますよね。

今回は、「下の血圧が高い」という現象について、できるだけわかりやすく解説していきます!



そもそも血圧って?

心臓はポンプのように血液を送り出し、その勢いで血管に「波」が生まれます。この波を 「脈波」 といい、この血液の流れによって血管にかかる圧力を 「血圧」 といいます。

① 脈波は心臓のドックンドックン!

  • 心臓が収縮すると血液が勢いよく流れ、大動脈へ押し出される

  • その勢いが 「波(脈波)」 となり、血管を伝わる

  • 手首や首で感じる「トクン、トクン」が 脈拍(脈波が伝わることで触れるもの)

② 血圧とは?

  • 最高血圧(収縮期血圧):心臓がギュッと縮んで血液を送り出すときの圧力(高い)

  • 最低血圧(拡張期血圧):心臓がゆるんで次の拍動を待つときの圧力(低い)

心臓がゆるんでいる時は、本来、血管への負担は少ないのですが、動脈硬化があると 拡張期(心臓が休んでいる時)にも血管に負担がかかる ことがあります。



血管抵抗の上昇が下の血圧上昇の鍵

「下の血圧」が上がる原因は?

1. 末梢の血管抵抗の上昇

心臓から遠い血管が 動脈硬化で硬くなる と、血液が流れにくくなります。上記の図に示した、お相撲さんが動脈が拡がらないように外から押さえつけているイメージ。すると、その影響が 心臓に近い血管(血圧を測る血管) にも及び、負担が増えてしまいます。

📌 例えるなら… 仕事ができない部下の代わりに、上司が無理をして働き続けるようなもの。その結果、上司(心臓)にも負担がかかり、血圧が上昇してしまいます。

2. 末梢の動脈硬化による「脈波の跳ね返り」

血液が送り出されたときの圧力の波が 硬くなった血管で跳ね返り、再び太い血管に戻ってくることで 拡張期血圧を押し上げてしまう こともあります。

3. その他の要因

  • ストレス交感神経の高ぶり

  • 血圧を調整するホルモンの過剰な働き


放っておくとどうなるの?

下の血圧が高い状態が続くと、 心臓や腎臓、脳などにダメージが蓄積 します。

いわゆる “サイレントキラー” 状態!

  • 心臓:心臓の壁が厚くなり(心肥大)、心不全や不整脈のリスク上昇

  • 腎臓:細い血管が傷つき、慢性腎臓病(CKD)に進行する可能性

  • :小さな血管が詰まったり破れたりし、脳卒中や認知症のリスク上昇

  • 目(網膜):網膜の血管がダメージを受け、視力障害のリスク

「下の血圧が高いくらい大丈夫でしょ?」と思っていると、 将来的に大きな病気につながる可能性 があるのです。


どうやって下の血圧を下げる?

1. 生活習慣の見直しがカギ!

減塩:1日 6g以下 を目指す(味噌汁や漬物、加工食品に注意!)
カリウムを多めにとる:腎臓病がないことが前提。
適度な運動:ウォーキングや軽い筋トレを 週に数回 継続
ストレス管理:趣味やリラックス時間を取り入れ、交感神経を落ち着かせる
睡眠の確保:睡眠時無呼吸症候群が疑われる方は早めに受診を

2. 目標は 拡張期血圧80mmHg未満!

📌 米国のガイドライン では 130/80mmHg未満 を目安に
📌 日本でも同様の基準 があり、特に 糖尿病や腎臓病のある方はより厳密な管理 が必要


まとめ

「下の血圧が80mmHgを超えたら要注意!」
動脈硬化やストレスが、拡張期血圧を上げる要因に
心臓・腎臓・脳を守るため、早めのチェックと対策が重要!

健康診断で 「上の血圧」だけでなく「下の血圧」も意識 してみましょう。

「下の血圧なんて気にしてなかった…」という方も、今日から 生活習慣を改善し、必要な治療を受けながら、大切な臓器を守る ことが大切です。

元気な毎日を送るために、ぜひ 血圧管理 を意識してみてくださいね!


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


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