一人の社員の病気が会社を傾かせることもあります

はじめまして。ファクトリーヘルス株式会社代表、医師の西田です。いきなり刺激的なタイトルで申し訳ありません。しかし、実際に従業員の健康を気にかけなさすぎると、思わぬ事故の発生から企業が高額の賠償責任を負うケースがあります。過去、京都市でおきた、京都祇園軽ワゴン車暴走事故 - Wikipediaを起こした従業員のいた会社は、数千万円の賠償金の他、信用問題から経営が悪化し、事故から4年後に破産しています。

「従業員の健康、会社と関係ないじゃないか!?むしろ、給料払っているんだから、それに見合った元気な身体で働くべきではないか?」という意見を持つ方もいらっしゃると思います。

労働者には自分で自分の健康を維持する義務(自己保健義務)があるため、その意見は部分的には正しいです。しかし、同時に会社には、業務命令を通じて心身の病気にさせてはならないという義務(安全配慮義務)があります。

それなりに予想できる事故や病気を、会社がなんの対策もとらずに引き起こしてしまった場合、上記のような予想外の出来事から取返しのつかない損失につながってしまうこともあります。

中小企業では多くの場合に従業員一人ひとりが担当する仕事の範囲が広く、一人の社員の離脱が大きな機会損失につながることがあります。特に、急拡大している勢いのある会社では、特定の人が自身の身体のことをかえりみずに、重い責任のある仕事を長い時間取り組みつづけるということをよく見聞きします。

医師の立場としては健康を大事にしてほしいところですが、目標に向けて成長していく楽しさややりがいが時に健康より優先されうるということはよく理解できます。(なんなら、病院で働く多くの医師たちも、「医者の不養生」状態です・・・)

ボクシングなどのスポーツの世界では、試合中に選手が致命的な状態にならないようにセカンドをつけたり、スポーツドクターを置いたりしています。それは、プレイヤーが、自らの意思で試合を降りる判断を行うことに大きな困難が伴うからです。同様に、会社で日々働き続ける方々にも、医学的な知見をもったセコンドやスポーツドクターのような存在が必要ではないでしょうか?

会社で実施している健康診断は完璧ではありませんが、多くのことがわかります。日本の法律では、事業主が健康診断の結果を踏まえて従業員に対して、スポーツドクターの役割として、医師の意見を聴取することが定められています。しかし、医学的知識がない経営者や人事労務担当者が、適切な判断を行うことは難しいですよね?

そのような状況で、会社の業務内容を把握している産業医に従業員の健康診断を見せて意見を聞くことができればどうでしょう?意識を失う可能性が高い従業員に、不用意に社用車を運転させることを避けることができます。多くの場合は治療を行えば、リスクを大幅に下げることができます。エース級の社員が突然心筋梗塞や脳卒中で戦線離脱する可能性さえあります。

産業医をおけば必ずしも完璧に病気を予防できるわけではありませんが、リスクヘッジとして有用なケースが多いです。もし健康診断結果を一度も、「会社の仕事をさせてよいか?」という観点で産業医などの医師に見せたことがない場合は、1度だけでも良いので見せてみてください。もしかすると、高額な賠償責任が発生するリスクを下げることができるかもしれません。

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