檜田相一

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国際卓越研究大学制度はなにが問題なのか(東北大生の視点から)

 9月1日に東北大学が国際卓越研究大学制度の最終候補に選ばれました。私はこの制度をかねてより危険視し、その問題点についてまとめる必要を感じていましたが、9月は多忙のためなかなか作業に取り組めずにいました。すこし機を逃してしまった感はありますが、しかし問題の重要性が変わるわけではないのでぜひお読みいただけると嬉しいです。  私はこの1年以上、さまざまな機会で国際卓越研究大学制度が問題であると訴えてきました。私が問題にしてきたのは、学外者中心の合議体が設置され、同時に総長を頂

    • 日本の社会運動はなぜ老人ばかりなのか

       「日本でこれほど多くの人がパレスチナのために行動してくれるのはうれしい。でも、日本の社会運動が年を取った人があまりに多いと思うんだけど、それはどうして?日本の若者は心がないの?」  これを言われたとき、ついに言われるかぁと思ってしまった。社会全体の高齢化が進んでいる、とだけでは説明のつかないほど日本の社会運動は高齢者中心だ。もちろんこれに対する自分なりの回答はもっていたつもりだが、いざ留学生にあらためて聞かれると口が重たくなってしまう。しかし、こういう問いは直接的にではない

      • 「大学に370人の遺体がある」東北大バングラデシュ留学生に現地の状況を聞く

         バングラデシュにおいて、学生による抗議デモが急速に拡大し、それに対して苛烈な弾圧が加えられたことが話題になっている。しかし、日本のメディアにおいて、その実態はほとんど報じられていない。  私はパレスチナ問題に関わってきたことで、かなりの数の在日バングラデシュ人とInstagramなどを交換しており、かれらのストーリーを見ることで現地の状況がひどいことは断片的に把握していた。しかし、昨日バングラデシュから来た留学生に話を聞いてみると、現地の状況は私が想像していた以上に悲惨なも

        • 学生メーデー2024基調提起

          学生メーデー2024は昨年以上に多くの人が集まり、いまの大学のあり方に疑問を抱く学生や、学業の継続に切実な不安を抱く学生が増加し続けていることをあらためて感じる行動となりました。 学生メーデーの集会では私が基調提起を務め、いまの大学の問題について網羅的に取り上げました。今回の基調提起は、大学の問題について正確に記述するだけでなく、参加した学生が持ち帰って自分の大学でビラを作って貼る際の参考になればいいなと思って書きました。ぜひ、この文章が各地で有効活用されてほしいなと思って

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        国際卓越研究大学制度はなにが問題なのか(東北大生の視点から)

          全国学生行動連絡会で取り組んでいくこと

          はじめに 東北大学の檜田です。このたび私が代表を務めることになった全国学生行動連絡会において、どのようなトピックについて取り組んでいくのかを紹介します。できれば、先にこちらの記事を読んでください。 全国学生行動連絡会では、個人の問題意識やひとつひとつの現場の問題から活動に取り組んでいくので、必ずしも以下で書くことに縛られるわけではありません。それでも、学生運動の組織として、特に強く意識を共有して取り組むトピックについて、以下で説明します。 学内規制を突破し、自由な言論

          全国学生行動連絡会で取り組んでいくこと

          全国学生行動連絡会の結成にあたって

          街頭からキャンパスへ  このたび全国学生行動連絡会の代表となりました、東北大学の檜田と申します。私は、2022年の前半から学生運動に関わるようになりました。そして、いわゆる「ノンセクト」と呼ばれる人々の運動に関わる中で、特に地方にいるということもあってそれぞれの運動をつなげ交流を図ることに力を尽くしてきました。  2023年度は入管問題、パレスチナでの虐殺などがあって運動が拡大するなかでより多くの学生とつながることができ、首都圏を中心にタテカン運動などが焦点化しました。

          全国学生行動連絡会の結成にあたって

          いまの大学を取り巻く問題の背景について

           先日東北大学の学祭で栗原康氏、白石嘉治氏を呼んで開催したトークイベントの補助資料としていまの大学問題の背景をまとめた資料を作成しました。といっても、このような資料が必要だろうと判断したのは開催の直前でしたので、すべて私の記憶のなかから引っ張り出してきて急ごしらえでつくったものになります。不足している部分はいくらかあるとは思いますが、私はとにかく素早いアウトプットを重視していますのでとりあえずそのまま公開することにしました。  大学問題の歴史的背景を3000字というちょうど

          いまの大学を取り巻く問題の背景について

          【東北大学の静かな学費値上げ】e-ラーニング教材の個人負担について考える

          東北大で起こったこと  1月30日に突然、東北大学の新2年生に対して「新たに導入するオンライン教材は個人負担で購入してもらうことになりますので、1万1千円を用意してください」という旨の連絡がなされた。  英語Ⅲというのは2年生が前期に全学教育科目として受講する授業であり、全学生の必修科目である。私はかねてより大学問題に関心があり、直観的に「これは放置してはいけない問題だ」と思い、何人かの後輩とともにこの問題を考える有志の会を立ち上げ、署名運動の開始にこぎつけた。  東北

          【東北大学の静かな学費値上げ】e-ラーニング教材の個人負担について考える