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ゴミパンク

ゴミ置場でカップラーメンの容器をいくつか拾って、逆さにして机に並べた。
ひとつひとつを丁寧に、ガムテープで固定する。

くそ。
これでは足りねぇ……。

そう思い、お菓子の箱や空き缶も拾ってきた。
防犯カメラには僕が不審者のように映っているだろう。

トントン、トントン。

僕は椅子に座って、割り箸でゴミを叩き始めた。

トントン、カサ、チン、トコトコ、カン。

大きさや素材によって音が変わるのが面白い。

カンカンカンカン。

ちょっとスネアの音が大きすぎた。
調整しないと。

カンカン、トコトコシャン。

『あんだ何しでんの?』

母の声だ。

『なあ、何じでんの?』

トントントン、チン、トントン、チン、トコトコトコチン。

『う゛るさいわ』

トントン、チン、トコ、カンカンカン。

『ご飯作ったがら、はよ食べ!』

トントントン、チン、トントン、カン、トコトコチン。

『ご飯作ったがら、はよ食べーーーーーー』

トントン、チン、トントン、カンカンカンシャーン。

『mother 偉大なる神 father 陸の悪魔♪』

トコチン。

僕は母の書く歌詞と、デスボイスが大好きだ。

『あんだ何しでんの?
なあ゛、何じでんの?
う゛るさいわーーーーーーー
ご飯作ったがら、はよ食べ
ご飯作ったがら、はよ食べーーーーーーーー
mother 偉大なる神 father 陸の悪魔
grandmother 全ての祖 grandfather ヨミガエレ』

トントン、チン、カンカンカンシャーン。

『先に゛お風呂いだだきまじたーー
兄ちゃん入っだら、栓抜いといてな゛ーーーーー』

ここで妹も加わった。

『mother 偉大なる神 father 陸の悪魔
grandmother 全ての祖 grandfather ヨミガエレ』

完璧なハーモニー。

ここで父のギターソロだ。

かまぼこ板に貼られた輪ゴムがメロディーを奏でる。

そしていざクライマックスへ。

『悲じみの果てに、君は何がを見つげるだろう
過去を洗濯機に入れ、回せ回せ回せ回せ

mother 偉大なる神 father 陸の悪魔
brother 放火魔 sister パンチパーマ
friends 宙に浮かぶ swimmer 向こう岸まで
grandmother 全ての祖 grandfather ヨミガエレ

喜怒哀哀哀哀哀哀楽、怒怒怒怒怒怒哀楽
喜喜喜喜喜喜怒哀楽、楽楽楽楽楽楽楽楽ーー』

カンカンカンカンカンカン、シャーーーン。

トコチン。

ふう……。

リハが終わった。

あと二曲あるが、現場に到着してからで間に合うだろう。

僕らはバンドワゴンに乗って、サマソニへと出発した。

面白いもの書きます!