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『異なるアプローチ、結局は同じ結末説』⑨単関節種目vs複合関節種目
筋トレの世界は、数多くのアプローチが存在しますが、最終的には同じような結果が得られる。
それが「異なるアプローチ、結局は同じ結末説」です。
このシリーズでは、最低限の科学性を保ちながら、時には若干飛躍的な主張も交えつつ、読者がトレーニングを続ける意欲を高めるためのエビデンスを提供します。
目指す世界観は水戸黄門のような安心感。
筋トレ愛好家や初心者の方々にとって、本シリーズが新たな視点を提供し、トレーニングをより楽しく、効果的にする手助けとなれば幸いです。
過去のシリーズ
9回目となる今回読み解く論文はこちらです。
Rosa, A., Vazquez, G., Grgic, J., Balachandran, A. T., Orazem, J., & Schoenfeld, B. J. (2023). Hypertrophic effects of single-versus multi-joint exercise of the limb muscles: A systematic review and meta-analysis. Strength & Conditioning Journal, 45(1), 49-57. https://doi.org/10.1519/SSC.0000000000000720
この研究では、単関節種目と複合関節種目のどちらが四肢の筋肉の筋肥大に効果的かを明らかにするために、系統的レビュー・メタ分析を行いました。
なお、単関節種目は体幹(例えば大胸筋)の筋肥大には効果的でないため、四肢の筋肉量(上腕や大腿など)の変化に焦点を当てていることに留意する必要があります。
この研究では、ランダム化されたグループ分け、筋肥大を正確に測定する手法の使用(二重エネルギーX線吸収法、MRI、CT、超音波、周径測定)、少なくとも6週間の介入期間などの選択基準を満たした7つの研究(10の比較)のデータが再分析されました。
主な結果は次のとおりです。
■メイン分析
単関節種目と多関節種目による差はわずかであった
■サブグループ分析
トレーニング量が均等な条件、非均等な条件でそれぞれ比較しても同様で、両者にわずかな差しかなかった
この結果は、単関節種目でも複合関節種目でも、四肢の筋肉は同じぐらい成長することを示唆しており、「異なるアプローチ、結局は同じ結末説」を支持するものです。
この結果に基づくと、多くのトレーニーにとって、時間効率を考慮すると、体幹の筋肉の肥大も期待できる複合関節種目の方が優先度が高いと言えるでしょう。
一方、論文の著者たちは、既存の研究のほとんどが筋肉の全体的な肥大(Whole muscle hypertrophy)を評価しており、特定の部位(Specific muscle hypertrophy)を考慮していないことを指摘しています。
例えば、大腿四頭筋を取り上げると、近位、中間位、遠位などに分けることができ、ある筋トレ種目を行った際の反応は一様ではありません。
そして、部分的な筋肉肥大を最大化するためには、単関節種目を行うことで追加的な利益が得られる可能性があるものの、この仮説はまだ十分に研究されていないと結論付けています。
そのため、筋肉のデティールにこだわる必要があるボディコンテスト出場者のような層にとっては、単関節種目が有益になる可能性があります。
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![髙山 史徳/Fuminori Takayama](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154865414/profile_c3f53e4b3c7120f21d903687b1e3430b.jpg?width=600&crop=1:1,smart)