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オフィスワーカーの健康改善を目指したアプリを使った実証実験
無秩序に活きる私のテーマに基づき、取り組む仕事や活動は多岐にわたります。
今回は、今年(2024年)に論文として成果を公表できた、オフィスワーカーの健康改善を目的とした実証実験について説明します。
この実証実験は、当時私が招聘研究員として勤務していた企業のオフィスワーカー23名を対象としたパイロット研究(本格的な研究前に小規模に行われる予備研究)です。
研究計画、アプリ開発、実験の実施、データ分析、論文の執筆など一連の取り組みを複数の社員(論文の共著者)と一緒に取り組みました。
具体的には、Persuasive System Design(PSD)モデルを基に開発したmHealth(モバイルヘルス)アプリを使用し、次の3つを目的に介入を行いました。
・座位時間の削減
・歩数の増加
・睡眠時間の延長
開発したアプリには以下の機能を搭載し、PSDモデルの4つの主要カテゴリーを反映しました(Primary task support, Dialogue support, System credibility support, Social support)。
セルフモニタリング:日々の客観的な健康データを確認可能
個別化されたメッセージ:ユーザーに応じたアドバイスを提供
教育:健康知識を学べる記事を閲覧可能
競争システム:プライバシーに配慮しつつ他ユーザーと競い合う
※PSDモデルはHarri Oinas-Kukkonenらによって2009年に提唱され、行動変容支援システムの設計に広く活用されている理論モデルです。
介入の結果、座位時間の減少に成功しました(統計学的に有意)。
また、ベースライン(介入前)の歩数をもとに3グループに分けた上で分析をしたところ、歩数が中程度のグループで、歩数、座りがちな時間、睡眠時間という3指標ともにポジティブな変化も得られており、PSDモデルに基づくmHealthの介入効果が元々の身体活動量に依存することも示唆されました。
多くの先行研究では理論的な枠組みに基づかずにアプリが設計されていた上、金銭的報酬が参加者に与えられていたのに対し、私たちの取り組みはPSDモデルに基づき、インセンティブなしで行ったことが1つの特徴です。
ただし、パイロット研究ということもあり、実験デザイン等に限界もあります。
最後に余談になりますが、オフィスワーカーを対象とした取り組みを通じて、一口に健康と言っても多様性があることや、アスリートとオフィスワーカーでは具体的に求められることが違っても、人に対してコミュニケーションをとって前向きな方向にサポートしていくという過程は両者に共通している点が多いことを学んだ気がします。
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![髙山 史徳/Fuminori Takayama](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154865414/profile_c3f53e4b3c7120f21d903687b1e3430b.jpg?width=600&crop=1:1,smart)