「リアルタイムバトル将棋Championships」で再認識した、ゲームは誰だって参加できるという事
「リアルタイムバトル将棋」とは
ターン制という時間の枷を外し「早い者勝ち将棋」を謳った、将棋のeスポーツである。
公式サイトはこちら。
この記事をご覧頂きありがとうございます。eスポーツキャスターの水上です。
先日「リアルタイムバトル将棋Championships in AICHI IMPACT!2021」(以下RTB将棋CS)にて実況を務めて参りました。
これは12月よりオンラインで行われていたRTB将棋全国大会の決勝にあたり、愛知国際展示場での「AICHI IMPACT!」というイベントにて開催されました。
まぁ順当にこれまで強かった人が勝って終わるだろう…と思い向かった愛知では、想像していなかったドラマと、僕が忘れていた「ゲーム」本来の姿を見届ける事が出来たので綴ります。何卒よろしくお願い致します。
リアルタイムバトル将棋のこれまで
さて、今回の大会結果をお話する前に、RTB将棋の歴史について簡単にお話をしたいと思います。
このゲームは約2年前の2019年3月14日にリリースされました。
特徴はターン制を廃止し、タイトル通りリアルタイムで次々駒を動かしていける事です。
制限要素としてはは駒を一度動かすと「クールタイム」が発生して数秒間同じ駒は動かせなくなる、という事のみで自由に駒を動かしかなりのスピード感でゲームが進んでいきます。逆に、「ターン制廃止」と「クールタイム」以外はほぼ本来のボード将棋(界隈では「本将棋」と呼ばれています)と同じなので馴染みやすく、入口はかなり広いゲームだと思われます。
そのルール設計のインパクトと漂ってくる「何か面白そうじゃね?」という匂いにあてられ、愛知大会で解説を務めた「わっち」君を始めとした数名でリリース直後からオフ大会を開いて遊んでおりました。
その後2019年5月にLANパーティイベント「C4LAN」にて規模の大きい大会を開き、メーカー主催の公式大会やフジテレビのeスポーツ大会番組「いいすぽ!」にて2度開催されたり、ひっそりと、しかし確実に競技としての歴史を積み重ねてきたタイトルです。
その過程で、トッププレイヤーも入れ替わり続けてきました。
豊富な本将棋の知識を誇り、シーン初期からユーザー大会、メーカー大会で連戦連勝の「うみねこ」選手。この人無しでRTB将棋の知識や戦法が開拓される事は無かったでしょう。
2019年7月に行われた初回「いいすぽ!」にて優勝をかっさらいトップに君臨したのが「bozitoma」選手。スマブラDXを始めとした様々なゲームで実力を示すマルチゲーマーです。
そして2020年8月の第2回「いいすぽ!」にて優勝したのがぷよぷよのプロゲーマー「飛車ちゅう」選手。ぷよぷよで培った「凝視」という技術を得意としています。
このゲームは相手のカーソルも見る事が出来るのですが、自分の盤面を管理しながら相手のカーソル・駒位置を把握する脅威の技術です。それに加えて操作制度もトップクラス。
以上の3名に加えて、本将棋でもプロ棋士として名を馳せる星野良生プロ等も参戦しておりまさに粒揃い。
今回のRTB将棋CSでも、優勝者はこのあたりだろうと踏んでいました。
誰だって参加できる「eスポーツ」
さて、時を現在に戻してCSの話をしましょう。
計4回のオンライン予選を経て勝ち残った進出者はこちら。上記で紹介した選手に加え、1回戦にいる「星花あみ」選手と「江本梨花」選手は前日に行われたエキシビションにて権利を獲得したアイドルの方々です。
そして、この中で一番爽やかな風を放っていたのが「レオ」選手。
このレオ選手は何と現在小学6年生。12歳にして、岐阜県小学生将棋大会での優勝経験を持つ将棋が大好きな男の子です。
なのでこのトーナメント表は、プロゲーマーにアイドル、プロ棋士、小学生、ただひたすらにゲームが上手い人等非常に多様な選手が揃う形になりました。
「ゲームには年齢も性別も関係無い」といった言葉を僕も耳にしたことがありますが、この日ほどそれを肌で感じた日も無かったように思います。
かくして開始したRTB将棋CS決勝。この日の主役は誰だったか?と問われれば、恐らく関係者・観戦者の誰もが口を揃えて「レオ」選手だと言うでしょう。
レオ選手は上記した通り将棋で優勝経験を持ち本将棋の知識が豊富な選手ですが、RTB将棋に出会ったのは去年末頃だったと伺っています。
クールタイムの管理や操作制度等、やり込みで培われていく事の多いこのRTB将棋において、数多くの選手が1~2年のキャリアを持っている中この「時期」の差というのは結構苦しい条件だなと考えていました。
実際、予選でのレオ選手は勿論上手ではあるものの、やはり他の選手と比べると少し至らない印象。
予選から本戦までは1ヶ月弱、その間他の選手も勿論やり込む。その差を埋めるのは厳しいかなと考えていましたが…
結論からお伝えいたします。
レオ選手、優勝おめでとう!!!
これにはかなり驚きました。最古参プレイヤーであるうみねこ選手、決勝ではRTB将棋CSを予選から通して一度も負けていなかった飛車ちゅう選手も破って文句無しの優勝。
この日見たレオ選手のプレイは、戦略も操作制度も予選の頃とはまるで別人でした。後ほど様々な選手に伺ったところ、予選から本戦まで本当にずーーっと、他の選手達と野試合を繰り返して練習していたそうです。
練習した選手たちも「めちゃくちゃ吸収が速くてこっちの手も覚えてくるからどんどん負けるようになってくる」と話していて、まさに本人の努力、圧倒的モチベーションがもたらした優勝と言えるでしょう。お見事。
ちなみにレオ選手は優勝した際「応援してくれたお母さんのお陰」と立派なコメントを残しました。泣けるよ。
折角なので決勝の最終試合を残していきます。初見の方だと少しついてきにくい部分もあるかとは思いますが、なんとなくの「面白さ」はきっと伝わってくるはず。
優勝賞品の一つであるsmashboxを貰ってニッコリのレオ選手。
このRTB将棋は理論上smashboxが最適なコントローラーとされていて、レオ選手は「今日smashboxをゲットしてもっと上手くなりたい」と仰っていました。
smashboxを求め、勝ち取って喜ぶ小学生がいるという事実、あまりにもeスポーツの未来を明るく照らしてくれていると思いません???
今後のRTB将棋 -JeSU認定タイトルになったよ-
今回の大会、選手達の多様さも勿論、始めた時期に差があったレオ選手が勝利を収めた事で「ゲームには性別も年齢も関係無く」「キャリアの差も覆せる」という事を改めて感じました。これだけそれぞれの立場を持っている人たちが同じステージで戦える場所を僕は他に知らない。
ゲームが持つ本来の入口の広さ。誰でも楽しめ、誰でもガチになれる。そんな初心を思い出させてくれるような大会だったと思います。
さて、そんなRTB将棋君ですが、この度…
JeSU公認タイトルになりました!!!
今後、ライセンス認定大会も開かれ、eスポーツ将棋のプロ即ち「プロe棋士」の誕生を促していくそう。
僕も詳しい事は存じておりませんが、物凄いスピード感と規模で話が進んでいるような印象を受けました。
再三ですが、オリジナルのゲーム性はあるもののベースはやっぱり将棋なのでかなり遊びやすいと思います。本当に誰でも遊べる。
そして現時点では競技人口が決して多いという訳では無いのですが、見た目はまるっきり「将棋」である事から、想定できる以上に様々な場所で大会が開かれる可能性はかなり高いと思っていて…もしかしたらかなりスゴイゲームになるかもしれない。
カジュアルに遊んでも楽しめるし、ガチで狙いに行く価値もじゅうぶんにある。様々な意味で「アツイ」2021年のリアルタイムバトル将棋から、今後も目が離せません。
マジでどうなっていくか解らないこのゲームを、期待を込めて見守っていきたいと思います。もしかしたら歴史が生まれる瞬間に立ち会えるかもしれない…!
そしてそんなリアルタイムバトル将棋は、今ならなんと500円で買えちゃいます!
14日までとなりますので是非この機会に。やるかやらないかは、買ってから考えましょう!
そして僕のTwitterもフォローしてくださると嬉しい!です!何卒!!→https://twitter.com/Fuuhi78
それではまた。