『白飛び』(短歌7首連作)

白飛び

まっさらに残さない足の跡しろく荒野を抜けるわずかな晴れ間

積みあがる塔の煉瓦を積みあげる才能に溢れて港町は

弓を構えた兵士のレリーフはこちらを狙い続けていて動かない

確実に存在するまでわからないチューブの色が出てくる絵の具

待ち合わせはひとりでするもの 道なりにどれだけの人とすれ違っても

なだらかに崩れて土は海面の波いっぱいに平たく冷えた

ばらばらに出ていく船の行き先も時刻も書いている新聞紙

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